成人看護学(26)(栄養摂取・代謝障害を持つ患者への看護) [成人看護学]
3)消化・吸収障害の観察とアセスメント
(1)腹部の観察法
(2)心身・日常生活への影響
・ 下痢は、脱水や全身倦怠感をおこし、日常生活にも影響を及ぼす。
・ 便秘は、食欲の低下をまねき、痔核の誘因となります。
4)消化・吸収障害の主な看護
(1)IVHの管理
・ 挿入したカテーテルが上大静脈に位置していること、および気胸などの合併症の有無を確認するために、挿入後は胸部レントゲンを撮影します。
・ 点滴ルートの閉塞をヘパリンなどで予防します。 感染予防のためには、不必要な三方活栓の装着を避け、定期的なライン交換やカテーテル刺入部の消毒を行います。 また、感染の徴候である発熱などは早期に発見するよう心がけます。
・ 定期的な血糖測定、血液・尿検査、水分出納を行い、高浸透圧性・高血糖性非ケトン性昏睡、低血糖発作、電解質異常、ビタミン欠乏症の早期発見に努めます。
(2)消化管内視鏡・造影検査時の援助
・ 検査前日の21時以降は、飲食を禁止します。
・ 検査の数分前に消化管運動と胃液分泌を抑制するために抗コリン剤を筋注します。
・ 上部消化管内視鏡検査は、左側臥位で行います。
・ 上部消化管内視鏡検査後は、誤嚥防止のため咽頭麻酔効果が消失して飲食するよう指導します。
・ 上部消化管造影でバリウムを使用した場合は、下剤を使って排泄を促し、ガストログラフィンを使った場合は、下痢に傾きやすいことを患者に説明しておきます。
・ 内視鏡的逆行性胆道膵管造影検査では、下剤を使って、排便、排ガスの処置をしておきます。
・ 下部消化管内視鏡・造影検査では、検査前に低残渣食の摂取やポリエチレングリコール電解質腸管洗浄液の内服があります。
(3)胃切除術の合併症予防と生活指導
・ 胃切除後の食事は、分割食とします。食事内容は、水分摂取から開始し、固形食が摂取できるように段階的に変更していきます。
・ ダンピング症候群を予防するためには、ゆっくり時間をかけて食事をします。1回の食事摂取量を少なくし、食後はセミファウラー位または仰臥位とします。
・ 逆流性食道炎を予防するために、食後はしばらくの間座位もしくは、セミファウラー位をとってもらいます。
・ 胃切除後は胃酸の分泌力が減少するため、殺菌力が低下し食中毒になりやすいので注意が必要です。
・ ビタミンB12と鉄の吸収障害がおこるので、それらの多い食品を摂取するように説明します。
[設問] 鎖骨下動脈からのIVHの合併症として多いものを一つ選べ。
イ 肺炎 ロ 逆流性食道炎 ハ 気胸 ニ 静脈炎
正解 (ハ)
[設問] 一般に上部消化管内視鏡検査では、検査前日何時以降の飲食を禁止するか?
イ 午後5時以降 ロ 午後7時以降 ハ 午後9時以降 ニ 午後12時以降
正解 (ハ)
[設問]上部消化管内視鏡検査時の患者の体位は次のどれか?
イ 仰臥位 ロ 左側臥位 ハ 右側臥位 ニ 腹臥位
正解 (ロ)