成人看護学(41)(内部環境調節障害を持つ患者への看護) [成人看護学]
3)体液調節機能の観察とアセスメント
(1)浮腫・脱水の観察法
(2)水分出納、身体所見、血液検査
・ 1日に摂取する水分と、排出される水分は等しくなるよう調節され、体液のバランスが保たれています。
・ 電解質の大きな変化は、生命に危険をもたらします。
・ 水分出納は、飲水量、食事摂取量、輸液量、尿量、発汗、便の量、排液量などから把握します。
・ 体重測定は、毎日同時刻に同じ条件で行います。
・ 水分が不足すると視床下部にある浸透圧受容体が反応し、口渇感を生じ、飲水を促し、下垂体後葉から抗利尿ホルモンが分泌され、尿量を減少させます。
・ 腎不全では、血中の尿素窒素とクレアチニンが上昇します。
(3)体液不均衡の程度と原因、腎不全の病期
・ 何らかの原因で腎機能が障害され、体液の恒常性を維持できなくなった状態を腎不全といいます。
・ 急激に発症し、回復の可能性を有するものを急性腎不全、慢性腎疾患が徐々に進行して不可逆的な腎機能低下をきたしたものを慢性腎不全といいます。
(4)心身・日常生活への影響
・ 腎機能が低下すると、体内に老廃物が蓄積して尿毒症症状、電解質異常、代謝性アシドーシスなどをひきおこします。また、エリスロポイエチンの分泌低下がおこり、貧血がおこります。 浮腫が高度になると、体重増加や呼吸困難がおこります。
・ 慢性腎不全は不可逆性で徐々に進行するので、患者は常に生命の危険を感じながら生きることになります。 また、水分、塩分、蛋白質などの厳しい制限は心理的ストレスの原因となります。
・ 慢性腎不全患者の皮膚の色素沈着、透析のためのシャント造設、ネフローゼ症候群でのステロイド使用による満月様顔貌などは、ボデイイメージにも影響を及ぼします。
[設問] 腎不全で値が上昇するものを二つ選べ。
イ 赤血球数 ロ 血清アンモニア ハ 血清尿素窒素 ニ 血清クレアチニン ホ γ‐GTP
正解 (ハ、ニ)
[設問] Seldinによる慢性腎不全の経過で正しいものを選べ。
イ 腎予備能力減少期→代償性腎不全期→非代償性腎不全期→尿毒症期
ロ 代償性腎不全期→腎予備能力減少期→非代償性腎不全期→尿毒症期
ハ 代償性腎不全期→非代償性腎不全期→腎予備能力減少期→尿毒症期
ニ 腎予備能力減少期→代償性腎不全期→尿毒症期→非代償性腎不全期
正解 (イ)
[設問] Seldinの慢性腎不全の病期で、高度の高尿素窒素血症、夜間多尿がみられ、GFRが30%以下に低下しているのはどの病気か?
イ 第1期 ロ 第2期 ハ 第3期 ニ 第4期
正解 (ハ)