成人看護学(34)(栄養摂取・代謝障害を持つ患者への看護) [成人看護学]
7)糖代謝障害の観察とアセスメント
(1)血糖・尿糖の測定法
・ 血糖の測定法には、空腹時血糖と随時血糖、75gブドウ糖負荷試験、血糖日内変動、および血糖自己測定があります。
・ 75gブドウ糖負荷試験は、75gブドウ糖液を内服し、負荷前、負荷30分、60分、120分後に採血します。
・ 尿糖の測定は、試験紙に尿をつけることで尿糖の定性・半定量検査を行うものです。
(2)摂取・消費エネルギーの算出
(3)身体所見、血液・尿検査、神経学的所見の正常とは
・ 血糖正常値は、空腹時で110mg/dL未満、75gOGTT2時間で140mg/dL未満です。
・ 血糖コントロールの目安としてHbA1c(JDS)が用いられ、6.5%未満が合併症予防の目安とされてきました。 2012年4月からは国際的に使われているHbA1c(NGSP)が日本でも採用されました。 そのため、値が0.4%高くなります。下の表はJDSでのものなので、NGSPでは0.4%プラスする必要があります。
・ 血糖値がおおよそ170mg/dLを超えると尿糖が出現します。 腎性糖尿は、腎臓の糖排出の閾値が低いために、それよりも低い血糖値で尿糖が陽性になります。
・ C-ペプチド活性(CPR:C-peptide reactivity)は尿や血中のC-ペプチドを測定し、膵β細胞からのインスリン分泌能を検査するものです。 24時間尿で20μg未満、食後2時間の血液で1.0ng/mL未満ならば、インスリン分泌能がほとんどないと判断します。
・ 糖尿病の合併症である神経障害をスクリーニングする方法は、アキレス腱反射や振動覚検査、神経伝導速度、自律神経機能検査などがあります。
(4)障害の原因と程度
・ 1型糖尿病の原因は、自己免疫性または特発性とされ、遺伝との関係は薄いといわれています。 膵臓のβ細胞が破壊されインスリンが絶対的に不足しますので、インスリン注射が必須となります。
・ 2型糖尿病は、遺伝的素因に不適切な生活習慣が合わさって発症します。 インスリンの分泌能の低下と、インスリン抵抗性の増大のため、インスリンが相対的に不足した状態です。 近年は若年者でも増加しています。
・ 糖尿病の病期は、1型でも2型でも、正常領域から、境界領域、インスリン非依存の糖尿病領域、インスリン依存状態の糖尿病領域に分類されます。
(5)心身・日常生活への影響
・ 下肢の神経障害と循環障害によって壊疽がおこり、下肢切断となる患者もみられます。
[設問] サラリーマンなどの中等度の生活活動での必要摂取エネルギーは次のどれか?
イ 25kcal/kg
ロ 30kcal/kg
ハ 35kcal/kg
ニ 40kcal/kg 正解 (ロ)
[設問] 空腹時血糖の正常値は何mg/dL未満か? 次から選べ。
イ 90mg/dL ロ 100mg/dL ハ 110mg/dL ニ 120mg/dL
正解 (ハ)
[設問] 血糖コントロールの合併症予防の目安とされるのは、NGSPのHbA1cで何%未満か? 次より選べ。
イ 5.8% ロ 6.2% ハ 6.5% ニ 6.9%
正解 (ニ)
[設問] 糖尿病の三大合併症の組み合わせは次のどれか?
イ 網膜症・腎症・神経障害
ロ 網膜症・虚血性心疾患・神経障害
ハ 脳卒中・腎症・神経障害
ニ 脳卒中・虚血性心疾患・腎症 正解 (イ)