成人看護学(32)(栄養摂取・代謝障害を持つ患者への看護) [成人看護学]
(4)肝切除術の合併症予防と生活指導
・ 生活指導では、十分なカロリー、良質な蛋白質、ビタミンを含む食事を摂取し、禁酒を守るよう指導していきます。
・ 活動は血清トランスアミラーゼ値を参考にしながら、拡大していきます。
・ 入浴は、食後2時間以内は避け、短時間の入浴とします。
・ 腸管内でのアンモニアの発生を抑えるため、便通を整えます。
・ 歯肉からの出血がおこりやすいので、歯ブラシは柔らかいものにし、転倒をおこさないよう注意させます。
・ 腹水の早期発見のために、体重測定を毎日行うよう指導します。
(5)肝動脈塞栓術の合併症予防と生活指導
・ カテーテル挿入による血管損傷からの腹腔内出血をおこすことがあり、バイタルサイン、腹痛、腹満感などの腹部症状に注意する必要があります。
・ カテーテル挿入による血栓形成もありえますので、足背動脈を触知して、拍動の有無と左右差を観察します。
・ 水分摂取を促し、発熱があればクーリングや解熱剤で対処します。
(6)食道静脈瘤の破裂予防と破裂時の対応
・ 利尿剤使用時は、急激に腹圧が低下し、破裂する可能性があるので注意する必要があります。
・ 破裂時は、大量出血がある場合はショックに陥りやすいので、バイタルサインをチェックし、窒息をおこさないよう、気道を確保します。
・ 食事は絶飲食になるため、口腔内の清潔を保持します。 含嗽の時には、誤嚥に注意します。
・ 吐血時は、S−Bチューブ(ゼングスターゲンブレイクモアチューブ)が挿入されますので、咽頭痛や喉頭の不快感が生じるため、会話は避けるようにします。
[設問] 肝切除術後の合併症で、予後を左右する重要なものを二つ選べ。
イ 肺炎 ロ 術後肝不全 ハ 術後出血 ニ 腎盂炎 ホ 心不全
正解 (ロ、ハ)
[設問] 肝切除術後の生活指導で便通を整えるようにするのは何のためか?
イ イレウスを防ぐため
ロ アンモニアの発生を抑えるため
ハ ダンピング症候群を避けるため
ニ 出血防止のため 正解 (ロ)
[設問] 食道静脈瘤患者の指導で正しいものを一つ選べ。
イ 緩下剤を使って便通を整えさせる。
ロ アルコールは控える必要はない。
ハ 下痢にならないよう止瀉薬を服用させる。
ニ 辛いものを食べるようすすめる。 正解 (イ)