成人看護学(28)(栄養摂取・代謝障害を持つ患者への看護) [成人看護学]
(7)胃・十二指腸潰瘍の生活指導
(8)膵炎の生活指導
・ 急性膵炎の生活指導では、過労や過激な運動を避け、睡眠を十分にとらせます。 食事は低脂肪食とし、暴飲暴食、アルコール、カフェイン、炭酸飲料を禁止します。
・ 慢性膵炎の生活指導では、糖質を中心とした低脂肪食とし、禁酒を指導します。 膵外分泌機能を維持するため、制酸薬と自律神経遮断薬が投与されるので、服薬指導を行います。
(9)腹痛、嘔吐、下血、下痢の看護
(A)安楽な体位
・ 嘔吐時や吐血時は、誤嚥を防ぐため側臥位にするか、顔を横に向けさせます。
(B)罨法
・ 嘔吐時、吐血時は胃の鎮静を図るため、胃部の冷罨法を行います。
・ 腹痛時は腹部の温罨法を行うと痛みが緩和されます。
・ 下血、下痢時は、貧血や脱水、体力の消耗が生じるため、保温に努めます。
(C)食事
・ 嘔吐や下痢が激しい場合は、脱水になりやすいので、水分や電解質バランスに注意します。
・ 嘔吐や腹痛が激しい場合は、禁食にすることもあります。
・ 吐血、下血時は、絶飲食にして消化管の安静を図ります。
・ 下痢時の食事は、消化のよいものにします。炭酸飲料、食物繊維が多い食品、冷たい飲食物は避けさせます。
(D)清潔
・ 嘔吐・吐血後は含嗽や口腔清拭を行います。
・ 下血時や下痢時は肛門周囲のびらんがおこりやすいので、肛門部の清拭や洗浄を行います。
[設問] 胃・十二指腸潰瘍の生活指導で正しいものを一つ選べ。
イ 繊維の多いものを食べるように指導する。
ロ アルコールは避けるように指導する。
ハ 食事の一回量を多くするように指導する。
ニ 食事の回数は少なくするよう指導する。 正解 (ロ)
[設問] 慢性膵炎の生活指導で正しいものを一つ選べ。
イ 食事は低脂肪食とする。
ロ 炭酸飲料は爽快感を与えるので勧める。
ハ 禁酒は必要ない。
ニ 高蛋白で糖分の少ない食事にする。 正解 (イ)
成人看護学(27)(栄養摂取・代謝障害を持つ患者への看護) [成人看護学]
(4)腸切除術後の合併症予防と生活指導
(5)胆嚢摘出術後の合併症予防
・ 術後出血や胆汁漏出の早期発見のため、バイタルサインとともにドレーンからの排液量・性状を観察します。
・ 術後膵炎の早期発見のため、腹痛、悪心・嘔吐、発熱、血中アミラーゼの状態を観察します。
・ 腹腔鏡下胆嚢摘出では、気腹による深部静脈血栓をおこしやすいため、ホーフマンズ・サインを観察するとともに、弾性ストッキングの着用や下肢の運動を行います。
・ 脂肪の消化吸収障害により下痢が生じる場合は、低脂肪食にすることを説明します。
・ 結石形成を予防するため、規則正しい生活をすること、食事で脂肪をとりすぎないこと、アルコールを飲み過ぎないことを説明します。
(6)胆汁瘻の管理と指導
・ 総胆管切開術後にTチューブを留置して、胆汁のうっ滞や胆泥、遺残結石の排出を行います。
・ 排出される胆汁の量、色、粘稠性、胆砂の有無を観察します。 また、電解質バランスを観察しますが、場合によっては輸液とその管理が必要となります。
・ 腸液に胆汁が混じらないようにするために、脂肪を制限する必要があります。
・ Tチューブは、閉塞がおきないように固定を十分に行います。 胆汁を排液後貯めるバッグは、逆行性感染を防ぐためにTチューブ挿入部よりも下になるようにします。
・ Tチューブを付けたまま退院するときは、管理の方法を指導し、発熱や黄疸がみられた場合は、すぐに受診するように説明指導します。
[設問] 腸切除後の縫合不全は術後どれくらいでおこりやすいか?
イ 術直後
ロ 術後翌日~3日目
ハ 術後4日~1週間くらい
ニ 術後1週間~2週間後 正解 (ハ)
[設問] 術後イレウス予防策として適切なものはどれか? 二つ選べ。
イ 体位変換
ロ 術後安静
ハ 抗生剤の投与
ニ 早期離床
ホ 下剤の投与 正解 (イ、ニ)
[設問] 胆嚢摘出後の合併症とその対策・予防策の組み合わせで正しいものを一つ選べ。
イ 術後膵炎 --- ドレーンからの胆汁排出量と性状の観察
ロ 気腹による深部静脈血栓症 --- 血清アミラーゼの観察
ハ 下痢 --- 低脂肪食
ニ 結石形成 --- 弾性ストッキングの着用 正解 (ハ)