成人看護学(30)(栄養摂取・代謝障害を持つ患者への看護) [成人看護学]
(3)肝性脳症での意識レベル・内容の観察法
・ 肝性脳症の症状には、意識障害、性格異常、見当識障害などの精神症状と羽ばたき振戦、腱反射異常、筋緊張亢進などの神経症状があります。
・ 血中に増加するメルカプタン臭により、独特の甘みのある肝性口臭がみられます。
・ 血液生化学検査では、血中アンモニア、肝機能、尿素窒素、電解質の値に注意します。
(4)身体所見、血液検査
・ 肝硬変では、黄疸、手掌紅斑、腹部血管の怒張、クモ状血管腫、女性化乳房、腹水・浮腫、羽ばたき振戦などの肝性脳症の症状がみられます。
・ 血清ビリルビン値が2mg/dL以上になると眼球黄染がみられます。
・ 血液凝固因子の合成能が低下すると、歯肉出血、鼻出血、皮下出血、血尿がみられます。
・ 血清アルブミンが低下すると倦怠感、浮腫、腹水を生じます。
(5)心身・日常生活への影響とコントロール
・ 食事は高カロリー、高蛋白、高ビタミン食を摂取させます。しかし、肝性脳症があれば、蛋白質は制限します。
・ 皮下出血がある患者は、肝臓におけるプロトロンビン合成のためビタミンKを含む食品の摂取を促します。
・ 肝血流を増加させるために肝機能に応じた安静を促します。
・ 腹水がある場合は、塩分と水分の摂取を制限します。 また、腸管細菌を抑制し、腸管内のアンモニアを発生しにくくするため、抗生物質やラクツロースを投与し、便秘対策に緩下剤などを使います。
[設問] 肝性脳症などの代謝性脳障害でみられる特徴的な脳波所見は次のどれか? 一つ選べ。
イ 三相波 ロ 棘波 ハ 平坦脳波 ニ 鋭徐波結合
正解 (イ)
[設問] 肝性脳症でみられることのある振戦は次のどれか?
イ 安静時振戦 ロ 羽ばたき振戦 ハ 企図振戦 ニ 動作時振戦
正解 (ロ)
[設問] 肝硬変患者の皮膚にみられる赤い丘疹はどれか?
イ 被角血管腫 ロ 母斑 ハ クモ状血管腫 ニ 海綿状血管腫
正解 (ハ)
[設問] 眼球黄染がみられるのは血清ビリルビン値がどれくらい以上になった時か?
イ 0.5mg/dl ロ 1mg/dl ハ 1.5mg/dl ニ 2mg/dl
正解 (ニ)