疾病の成り立ちと回復の促進 第40回(薬剤) [疾病の成り立ちと回復の促進]
b) 種々の呼吸器疾患治療薬
ア) 去痰薬
・ 気道分泌を促進し、痰の粘性を低下させて排出を容易にする目的で使われます。
・ ブロムへキシン、システイン誘導体、蛋白分解酵素(トリプシン、キモトリプシン)、多糖類分解酵素(リゾチーム)などがあります。
イ)呼吸促進薬
・ 呼吸抑制時に使います。
・ ドキサプラム、ジモルフォラミンなど
ウ)鎮咳(ちんがい)薬
・ 対症療法として使われます。
・ 麻薬性鎮咳薬としてコデイン、ジヒドロコデイン、非麻薬性鎮咳薬としてデキストロメトルファン、ノスカピンなどがあります。
エ)肺サーファクタント
・ 未熟児などの呼吸窮迫(きゅうはく)症候群(IRSD)の特効薬として人工サーファクタントが使われます(気管内注入)。
オ)ガス
・ 酸素は低酸素血症の予防と治療に使われます。
・ 二酸化炭素は強力な呼吸興奮作用を持つため、呼吸の回数と深度を増加させるために使われます。
・ 一酸化窒素は強力な血管拡張薬であり、肺高血圧症などに使われることがあります。
[設問] 呼吸促進剤を一つ選べ。
イ ブロムヘキシン
ロ ドキサプラム
ハ コデイン
ニ リゾチーム 正解 (ロ)
[設問] 未熟児の呼吸窮迫症候群の特効薬として使われるのはどれか?
イ ドキサプラム
ロ ノスカピン
ハ サーファクタント
ニ 蛋白分解酵素 正解 (ハ)
[設問] 血管拡張薬として肺高血圧症に使われることがあるのはどれか?
イ サーファクタント
ロ 二酸化炭素
ハ 酸素
ニ 一酸化窒素 正解 (ニ)
疾病の成り立ちと回復の促進 第39回(薬剤) [疾病の成り立ちと回復の促進]
E)呼吸器系に対する薬剤
a) 気管支喘息治療薬
ア)気管支喘息の病態
・ 気管支喘息は、アレルギー反応による可逆的な気道閉塞と遅延性炎症(ちえんせいえんしょう)が生じる病態です。
・ 好酸球主体の慢性気管支炎がみられます。
・ 治療に使われるのは気管支拡張薬とステロイド薬です。
イ) メチルキサンチン薬
・ ホスホジエステラーゼの阻害作用により効果を現します。結果として平滑筋の弛緩がおこり、気管支拡張がみられることになります。
・ この系統の薬剤としては、テオフィリン、アミノフィリンなどがあります。
ウ)β2受容体作動薬
・ 気管支平滑筋のβ2受容体を刺激し、平滑筋を弛緩させます。
・ 発作時にも慢性期の管理にも使われます。
・ 薬剤としては、サルブタモール、プロカテロール、サルメテモール、ホルモテロールなどがあります。
エ)吸入抗コリン薬
・ 喘息に、副交感神経系の亢進による気管支平滑筋の収縮と粘液過剰分泌が関係していることがあるために、使われることがあります。
・ 薬剤としては、臭化イプラトロピウム、臭化フルトロピウム、臭化オキシトロピウムなどの吸入薬があります。
オ)コルチコステロイド薬
・ 炎症、浮腫を改善し、アレルギー反応を抑制します。
・ べクロメタゾン、フルチカゾン、ブデソニドは吸入薬としてよく使われます(吸入ステロイド薬)。
カ) 抗アレルギー薬
[設問] 気管支喘息でみられる気道の炎症は、次のどれによるものか? 一つ選べ。
イ 好中球 ロ 好塩基球 ハ 好酸球 ニ リンパ球
正解 (ハ)
[設問] 気管支喘息の治療に使われるのは気管支拡張薬と何か? 一つ選べ。
イ 抗生物質 ロ ステロイド ハ 去痰薬 ニ 鎮痙薬
正解 (ロ)
[設問] 気管支喘息で使われる薬剤を二つ選べ。
イ ジゴキシン ロ フルチカゾン ハ プロカテロール ニ ニフェジピン ホ タムスロシン
正解 (ロ、ハ)