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疾病の成り立ちと回復の促進 第30回(薬剤) [疾病の成り立ちと回復の促進]

(2) いろいろな薬剤

A)病原微生物に対する薬剤

a) 消毒薬

ア)アルコール類: 微生物の蛋白を変性させることによって作用を示します。70%エタノールと90%イソプロピルアルコールが一般的に使われています。

アルコール.png

イ)アルデヒド類: 微生物の蛋白を変性させることによって作用。 ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドなどがあります。

ウ)ハロゲン化合物 

・ ヨード: ヨードチンキ(ヨウ素、ヨウ化カリウムを含むエタノール液)は、健常な皮膚の消毒に効果的。 しかし、過敏症の人があり、皮膚炎をおこすことがあります。 また、ポビドンヨード(ポリビニルピロリドンとヨウ素の複合体)は皮膚の消毒、手術時の皮膚の消毒に使われます。

ヨード.png

・ 塩素: 塩素は次亜塩素酸の形で抗微生物作用を示します。塩素は現在主に、水の消毒に使われています。

エ)酸

・ ホウ酸は局所刺激が少なく、粘膜や皮膚の防腐に用いられています。

・ 安息香酸は食品防腐剤に使われています。

オ)酸化剤

・ 過酸化水素や過マンガン酸カリウムは、発生する活性酸素による作用を持ち、創傷、潰瘍の殺菌、消毒のために使われます。

過酸化水素.png

 

カ)重金属、水銀化合物

・ マーキュロクロムが有機水銀化合物であり、皮膚表面、創傷、潰瘍の消毒に使われます。

キ)フェノール類

・ フェノール類は蛋白質の変性作用により殺菌作用を示します。 しかし、組織刺激性が強いので、誘導体であるクレゾールが使われることが多いようです。 皮膚、器具、排泄物などの消毒に使われています。

ク)界面活性剤

・ 逆性石鹸として塩化ベンザルコニウムなどがあります。        

ケ)色素類

・ アクリノールが化膿創の消毒に使われます。

コ)クロルヘキシジン

消毒薬.png

[設問] 発生する活性酸素による作用を利用して殺菌、消毒に使われるのはどれか?

イ ホウ酸   ロ 過酸化水素   ハ ヨードチンキ   ニ エタノール

                                     正解 (

[設問] 有機水銀化合物で、皮膚表面、創傷、潰瘍の消毒に使われるのはどれか?

イ ホウ酸   ロ 過酸化水素   ハ マーキュロクロム   ニ エタノール

                                     正解 (


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疾病の成り立ちと回復の促進 第29回(薬剤) [疾病の成り立ちと回復の促進]

J)薬剤の効果を左右する因子

・ 一般的因子: 体重、年齢、性差、肝機能と腎機能、他の薬剤との相互作用、服薬の徹底の度合

・ 偽薬(ぎやく)効果(プラセボ効果): 心理的要因で薬理作用のないもので効果がみられることをいいます。 

偽薬効果.png

・ 薬剤耐性: 薬剤を連用しているときに現れる薬効の低下

・ 薬物依存(やくぶついぞん): 薬剤を連用しているときにおこる習慣性が生じることがあります。 重症化した場合、薬剤を中止すると禁断症状(きんだんしょうじょう)が現れ、これを嗜癖(しへき)(耽溺)と呼びます。 習慣性と嗜癖を合わせて薬物依存と呼びます。

薬物依存.png

K)医薬品の開発

・ 新規の化合物の開発 → 前臨床試験(培養細胞、動物などを使った薬理作用をみる試験と安全性をみる試験があります)→ 第1相臨床試験(動物試験での効果がヒトでも現れるかどうかをみます)→ 第2相臨床試験(少数の患者で試験、薬効と副作用をみます)→ 第3相臨床試験(多数の患者群で対照薬との比較試験)→ 新薬として認可 → 発売後、第4相臨床試験(新たな薬物相互作用、まれな有害作用がないかどうかを調査)

[設問] 以下の文で正しいものを一つ選べ。

イ 偽薬効果とは、心理的要因で薬理作用のないものに効果がみられることをいう。

ロ 薬剤耐性とは、連用するうちに副作用がみられなくなることをいう。

ハ 薬物での禁断症状とは、長く飲まなかった薬剤を再度飲んで出る症状をいう。 

ニ 薬物依存とは、薬物を連用していることをいう。

                          正解 () 


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