基礎看護学(18)(基本的日常生活援助技術) [基礎看護学]
7)休息・睡眠の援助技術
(1)休息・睡眠状態のアセスメントと援助方法
・ レム睡眠では、深い眠りにもかかわらず脳波は覚醒時に類似しています。夢の約80%はレム睡眠期にみられます。
・ 小児は、成人に比べ、レム睡眠の割合が多いといわれています。
・ 睡眠時間は新生児の場合18時間前後ですが、その後だんだん少なくなり、高齢者では5〜7時間となります。
・ 睡眠中は発汗が増加し、体温・血圧は低下、呼吸数と脈拍数は減少します。
(2)安楽な休息・睡眠を促す援助方法
・ 睡眠時は、消灯もしくは患者の習慣も考慮し照度を低くします。
・ 治療・看護処置により発生する音、ドアの開閉音、会話などの雑音はできるだけたてないように配慮します。
・ 病室内と外気温の差が、5℃以上にならないようにします。
・ 就寝前に、足浴やぬるめのお湯にゆっくりつかると、副交感神経が優位となり安眠につながります。
・ 発汗・臭気・掻痒感などは不快感をおこし睡眠のさまたげになるので、身体は清潔にします。
(3)睡眠障害とその援助方法
・ 不眠の原因を確認し、不安や心配事は共感をもって聞くようにします。
・ 熟眠感がなく、よく眠っているようにみえても不眠を訴えることもあるため、睡眠時間だけでは判断できません。
・ 入眠期・軽眠期は眠りが浅く覚醒しやすいため、このときに覚醒するとその後の寝付きが悪くなります。
・ 援助としては、罨法、足浴などを行ったり、可能な処置を行ったりします。
・ 眠剤を投与する場合は、投与後の観察を行うようにします。
[設問] 睡眠中の患者を観察すると、瞼の下で眼球が急速に動くのが見えた。患者の睡眠レベルは何と呼ばれるか?
イ 軽睡眠
ロ 深睡眠
ハ ノンレム睡眠
ニ レム睡眠 正解 (ニ)
[設問] 新生児の睡眠時間はだいたいどれくらいか?
イ 18時間 ロ 15時間 ハ 13時間 ニ 11時間
正解 (イ)
[設問] 睡眠中に増加または上昇するのは次のどれか? 一つ選べ。
イ 発汗 ロ 体温 ハ 血圧 ニ 呼吸数 ホ 脈拍
正解 (イ)
[設問] 睡眠の援助方法について正しいものを一つ選べ。
イ 入院中の患者は不安をいだいているので、消灯はできるだけ避けるようにする。
ロ ドアの開閉音、会話などの雑音はできるだけたてないよう配慮する。
ハ 入浴は熱めのお湯に短時間つかるようにすると、安眠につながりやすい。
ニ 病室内と外気温の差は、10℃くらいにする。
正解 (ロ)
基礎看護学(17)(基本的日常生活援助技術) [基礎看護学]
6)活動・運動の援助技術
(1)活動・運動の能力のアセスメントと援助方法
・ 人間は本来、活動と休息、覚醒と睡眠という生体リズムを持ち、疲労やエネルギー消耗を回復させています。
・ 活動・運動能力は、患者の疾患や安静の程度、治療、日常生活の自立度、関節可動域、疼痛の有無、年齢などの身体的側面と、身体を動かすことに対する気持ちや意識、意思をうまく伝えられないなどの精神・心理的側面の影響を受けます。
・ 姿勢によるエネルギー消費は、立位→座位→臥位の順に低くなるため、立位が最も疲れやすいことになります。
・ 自分で運動できない人には、関節拘縮を予防する目的で他動的に運動が必要です。
(2)体位交換
・ 声かけをしながら静かに患者の体位を変換し、ベッドの中央部に位置するように、安定させます。
・ 患者の基底面積が小さくなるほどベッドとの摩擦が小さくなり体位変換がしやすくなります。
・ 側臥位にした時には、患者の腰と膝を曲げ基底面積を広くとり、安定した体位にします。
・ ファウラー位では、上半身がずり落ちやすいためベッドの足元を少し上げるか、枕を膝下に挿入します。
・ ベッドと患者の身体の生理的湾曲の空間に枕と補助用具を用いることで姿勢は安定します。
・ 良肢位を保ち、衣服や寝具のしわによる圧迫を防ぐようにします。
・ 麻痺側や点滴部位が圧迫されないようにします。
・ 患者の安全・安楽を考慮して無理をせず、適正な看護者の人数を確保するよう心がけます。
(3)床上移動
・ 自分から遠くへ患者を移動させるより、自分の方へ移動させる方が力は少なくて済みます。
(4)車椅子への移動・移送
・ 車椅子への移動・車椅子からの移動では、必ず車椅子のブレーキをかけるように心がけます。その後は、フットレストを上げ、患者の移動が最小ですむような位置に車椅子を配置します。
・ 片麻痺がある患者の場合、車椅子の移動する際は、健側に車椅子を配置します。
・ 移送時にはフットレストに足を乗せ、タイヤ部分に上肢が当たらないように注意しながら静かに進みます。
・ 車椅子で急な下り坂を下る時は、蛇行して進むか、後ろ向きに下ります。
(5)輸送車への移動・移送
・ 輸送車(ストレッチャー)への移動・輸送車からの移動では、必ずブレーキ(ストッパー)をかけておきます。
・ ベッドと輸送車間の移動では、平行に配置します。
・ 輸送車での移送時には、患者の頭部が下肢よりも下がらないように注意します。
(6)レクリエーション
・ レクリエーションは闘病意欲を高め、治療によい作用をもたらすといわれています。
・ 入院中に行われるレクリエーションは限界がありますが、読書や編み物、散歩、囲碁、将棋、四季の行事や音楽会などは、気分転換や生きる意欲を高めます。
[設問] 床上安静の人が急に立位になった時に、起きやすいのは次のどれか? 一つ選べ。
イ 貧血
ロ 高血圧
ハ 顔面紅潮
ニ 起立性低血圧 正解 (ニ)
[設問] 体位交換に関する正しい説明は次のどれか? 一つ選べ。
イ 患者の体位は看護者側のベッドの端に位置するように安定させる。
ロ 患者の基底面積は大きいほど、体位交換はしやすくなる。
ハ 側臥位にしたときは、患者の腰と膝を曲げ、基底面積を広くとって、安定した体位にする。
ニ 体位交換は、患者のプライバシーを守るため、多少負担があっても一人の看護者が行うようにする。
正解 (ハ)
[設問] 車椅子への移動・移送について正しい記述を一つ選べ。
イ 車椅子への移動では、必ずブレーキをかける。
ロ 片麻痺がある患者では、患側に車椅子を配置する。
ハ 車椅子で急な下り坂を下りるときは、前向きに下る。
ニ 車椅子で下り坂を下りるときは、蛇行してはならない。 正解 (イ)
[設問] ベッドとストレッチャー間の移動の場合、両者の配置は次のどれがよいか?
イ 直角にする。
ロ 平行にする。
ハ 45度の斜めに配置する。
ニ どの配置でもかまわない。 正解 (ロ)
基礎看護学(16)(基本的日常生活援助技術) [基礎看護学]
5)衣生活の援助技術
(1)衣生活を調整する能力のアセスメントと援助方法
・ 病衣の目的は、「体温調節」「皮膚の生理機能を助ける」「皮膚を外界から守る」ことです。
・ 病衣の着脱援助に関するアセスメントの視点は、「着脱行動がどの程度自力ができるか」 「環境の温湿度に適しているか」 「皮膚機能を妨げている要因はないか」 「着衣に満足感があるか」 などです。
(2)病衣の選択
・ 病衣は、常に清潔に保つ必要があるので、汚れが目立つ色を選び、汚れたらすぐ交換でき、洗濯に強いものを選びます。 デザインや色などは、療養に差し支えない範囲で個人の嗜好に合わせ、自由に選択できることで、心理的満足感を味わうことができます。
・ 病衣の材質は、木綿がよいのですが、糊付けすると通気性や汗の吸収を妨げ、肌触りを悪くし、皮膚を傷つけることもあるので気をつける必要があります。
・ 四肢に機能障害がある患者、体位交換の必要な患者、失禁のある患者では、上下別のセパレートタイプのものがよいとされています。 また着脱が容易にできるようゆとりのある形を工夫し、障害部位を圧迫しない材質を選ぶようにします。
・ 衣服気候とは、皮膚と衣類間の温湿度のことで、伝導、輻射、対流、発汗によって調整されます。 衣服気候を左右する病衣の条件は、含気性、通気性、保温性、透湿性(吸湿放湿性)・吸水性が挙げられ、外気温と比較して変動が少ない条件にすることで、快適な体表温度を保つことができます。
(3)寝衣の交換
・ 病衣の交換を介助する際は、患者の体位を安定させて行い、短時間ですませるようにします。四肢の着脱では、手・肘関節、足・膝関節をしっかり支えて行う必要があります。
・ 病衣のしわは、体重による圧迫で褥瘡の原因となるので、身体の下になる部分にしわを作らないように注意します。
・ 一部介助の場合は、残存機能を活用し、可能な限り自立を支え、関節可動域を維持するようにします。
[設問] 病衣の選択に関する記述で正しいものを一つ選べ。
イ 病衣には、汚れの目立たないものを選ぶ。
ロ 病衣の材質は木綿がよいが、糊づけすると通気性や汗の吸収を妨げるので注意が必要である。
ハ 四肢に機能障害がある患者では上下がつながったワンピースタイプのものがよい。
ニ 病衣の衣服気候を左右するのは、通気性だけである。
正解 (ロ)
[設問] 寝衣の交換について正しいものを一つ選べ。
イ 片麻痺のある患者では、健側から脱がせるようにする。
ロ 片麻痺のある患者では、健側から着せるようにする。
ハ 病衣のしわは、身体の下になる部分のものは気にする必要はない。
ニ 一部介助の患者でも、疲れないように、全面的に看護者が交換を行う。
正解 (イ)
ランダム問題(9) [問題集]
[設問81] 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の病原体は次のどれか?
イ 細菌 ロ リケッチャ ハ クラミジア ニ ウイルス ホ 原虫
正解 (ニ)
ミニ解説: SFTSは、2006年中国で発見され、翌2007年ころから流行し始めたフレボウイルス属SFTSウイルスによる感染症である。主症状は、発熱と消化器症状で、重症化すると死亡する可能性がある。感染はウイルスを保有するマダニに咬まれておこる。2013年3月4日に四類感染症に指定され、届け出の対象となった。
[設問82] 異型肺炎の病原体はどれか?
イ アデノウイルス ロ A型溶連菌 ハ ロタウイルス ニ マイコプラズマ
正解 (ニ)
[設問83] スタンダードプリコーション(標準予防策)の対象となるものの組み合わせを選べ。
イ 血液・体液・粘膜・損傷した皮膚
ロ 汗・血液・体液・損傷した皮膚
ハ 汗・唾液・血液・リンパ液
ニ 血液・体液・粘膜・汗 正解 (イ)
[設問84] 接触感染予防策を講じる対象となるのはどれか? 一つ選べ。
イ インフルエンザ
ロ マイコプラズマ肺炎
ハ MRSAによる胃腸炎
ニ ウイルス性肺炎 正解 (ハ)
[設問85] 飛沫感染予防策を講じる対象となるのはどれか? 一つ選べ。
イ MRSAによる肺炎
ロ 疥癬
ハ O‐157胃腸炎
ニ マイコプラズマ肺炎 正解 (ニ)
[設問86] 空気感染予防策を講じる対象となるのはどれか? 一つ選べ。
イ MRSAによる胃腸炎
ロ マイコプラズマ肺炎
ハ 水痘
ニ インフルエンザ 正解 (ハ)
[設問87] 細胞が傷害されて生じる可逆性の形態と機能の変化を何というか?
イ 壊死 ロ 変性 ハ アポトーシス ニ 萎縮 正解 (ロ)
[設問88] 加齢でみられる筋萎縮はどれに属するものか?
イ 生理的萎縮 ロ 栄養障害による萎縮 ハ 廃用性萎縮 ニ 神経性萎縮
正解 (イ)
[設問89] 通常は存在しない部位に異所性に特定の組織が生じる現象を何というか?
イ 増殖 ロ 転移 ハ 化生 ニ 過形成 ホ 変性
正解 (ハ)
[設問90] 肝臓の部分切除で一定期間経過すると肝臓はほぼ元の大きさにもどるが、これは何によるものか? 二つ選べ。
イ 変性 ロ 化生 ハ 過形成 ニ 肥大 ホ アポトーシス
正解 (ハ、ニ)
基礎看護学(15)(基本的日常生活援助技術) [基礎看護学]
4)身体の清潔の援助技術
(1)清潔行動のアセスメントと援助方法
・ 清潔行動の必要性と妨げる要因をアセスメントして、患者に必要な援助内容、実施場所、使用する看護用具を考え、援助方法を選択します。
(2)身体各部の清潔援助方法
・ 全身の清潔法には、入浴・シャワー浴・全身清拭があり、さらに全身清拭を部分に分けて行う部分清拭(洗髪、洗面、口腔ケア、手浴、足浴、陰部清拭・洗浄)があります。
・ 清拭は、治療上入浴が許可されないときに行われます。入浴よりも疲労が少なく、マッサージ効果で血行が促進され、自他動運動を併用すると廃用症候群の予防ともなります。 また、看護者と患者とのコミュニケーションの場にもなります。
・ 全身清拭を行う際は、室温を22〜26℃に保ち、強い気流による冷感を感じさせないように、窓は閉め、湿った皮膚を露出する時間を短くします。 皮膚にあてる清拭布の表面の温度は50℃が適切とされるので、55〜70℃の湯を準備します。 また、プライバシーへの配慮も行う必要があります。
・ 四肢では血管の走行に従って拭きます。 腹部では腸の走行に従い「の」の字を描くように拭きます。 清拭布は肌から一旦離すと温度が下がるので密着させながら動かすようにします。
・ 就床患者の洗髪法には、 a) ベッド上で、ケリーパッドを使って行う方法 b) ベッド上で洗髪車を使って行う方法 c) 洗面所または浴室で仰臥位か前屈位で行う方法がありますが、エネルギー消費は、a)が最も少なく、c)で前屈位の場合が最大となります。
・ 患者の状態により洗髪法と湯水の使用量を決め、目や耳に湯水を入れないこと、頭皮を傷つけないこと、頭に振動を与えないこと、体位および頸部は可能な限り安楽にして疲労させないようにすること、などに注意します。
・ 口腔内は、唾液による自浄作用が備わっていますが、発熱・絶食では乾燥し、細菌が繁殖しやすくなります。 自力で口腔清掃ができない場合には、できるだけ歯ブラシによる口腔清掃を援助します。 意識のない患者は、誤嚥による肺炎をおこす可能性が高いので、体位や使用物品を工夫して口腔内の清掃を行います。
・ 足浴は保清の他に、血液循環の促進、入浴に近い爽快感が得られる効果もあり、入眠を促すイブニングケアとして就眠前に行われることもあります。
・ 陰部洗浄(清拭)は、不安や羞恥心を最小限にする配慮が必要で、下腹部や下肢をバスタオルなどで覆い、不必要な露出を避けるようにします。 女性の場合、洗浄・清拭は、肛門周囲の大腸菌による感染を防ぐ目的で、尿道口から肛門の方向へ向かって行います。
(3)褥瘡の予防・処置
[設問] 患者の入浴について正しいものを一つ選べ。
イ 入浴の湯の温度は43~45℃とする。
ロ 入浴時間は20~40分と比較的長時間にする。
ハ 消化機能が悪くなるので食前または食後1時間以上たってからとする。
ニ 短時間の入浴は、疲れの原因となるだけである。
正解 (ハ)
[設問] 清拭に関する正しい文を一つ選べ。
イ 清拭は入浴よりも疲労が大きい。
ロ 全身清拭を行う場合は、窓を開け、風を入れるようにする。
ハ 清拭布の表面温度は、37℃が最適をされる。
ニ 四肢の清拭は、血管の走行に沿って行う。
正解 (ニ)
[設問] 褥瘡の発生要因の組み合わせを一つ選べ。
イ 圧迫・摩擦・低栄養・保温・乾燥
ロ 圧迫・摩擦・低栄養・不潔・湿潤
ハ 圧迫・乾燥・低体温・不潔・摩擦
ニ 摩擦・圧迫・湿潤・高体温・低栄養
正解 (ロ)
[設問] 仰臥位での褥瘡好発部位の組み合わせを選べ。
イ 仙骨部・肩甲骨部・後頭部
ロ 仙骨部・肩峰部・大転子部
ハ 仙骨部・尾骨部・坐骨部
ニ 仙骨部・腸骨稜部・腓骨頭部 正解 (イ)
[設問] 褥瘡で真皮までにとどまるのは、NPUAPステージ分類では次のどれか?
イ I ロ II ハ III ニ IV
正解 (ロ)
基礎看護学(14)(基本的日常生活援助技術) [基礎看護学]
3)排泄の援助技術
(1)排泄行動のアセスメントと援助方法
・ 排泄行動の自立度については、尿意・便意の自覚、移動動作、排泄時の衣服の着脱、姿勢の保持、排泄後の始末などをアセスメントして判断します。
・ 排泄行動を自立させるための援助は、患者の意思を確認しながら段階的に進めるようにします。
・ 排泄には、年齢・性別、食事や水分摂取、運動、薬物の使用、環境の変化、ストレスなどが影響します。心理的ストレスなどは軽減できるよう援助し、他の要因にも配慮しながら生理的な排泄リズムに転換できるように援助します。
・ 高齢者や長期臥床の患者で、起立性的血圧や転倒の危険があると考えられる時はトイレまでの歩行に付き添うようにします。
・ 差し込み便器を使用する場合、排泄時に尿が飛散しないように、また便の後始末がしやすいようにトイレットペーパーを重ねて便器の底に敷いておきます。
・ 頻尿とは、1日の排尿回数が10回以上ある状態をいいます。
・ 頻尿は、膀胱の炎症、中枢性の疾患、老化などが原因となります。
・ 一般に摂取した水分量は、尿に40〜60%、便に4%、不感蒸泄に36%に割合で排泄されます。
・ 便意は、直腸内圧40〜50mmHgでおこります。
・ 便秘には、大腸の機能的障害によるものと器質的障害によるものがあります。
・ 症候性便秘の原因は、腸の癒着や腫瘍による閉塞機転によるものが多いのですが、腹腔内臓器の炎症による癒着、近接臓器の腫瘍による圧迫や、内分泌疾患、神経疾患などに起因することもあります。
(2)排泄物の観察
・ 排泄物のアセスメントは、量・性状・回数・間隔や排泄時の随伴症状などの観察データを参考にします。
・ 膀胱容量は約500mLですが、尿意は通常200〜300mLでおこります。
・ 健康成人の1日の尿生成量は、1000〜1500mLです。
・ 健康人の尿比重は、1.010〜1.030です。
・ 成人の排尿回数は、1日4〜6回です。
・ 成人の排便量は1日100〜250g程度です。
・ 成人の排便回数は、1日1〜2回です。
(3)自然な排泄を促す援助方法
・ 自然排尿を促す援助として、水音を聞かせる、微温湯を外陰部にかけます。臀部の膀胱神経叢のマッサージや温罨法などがあります。
・ 自然排便を促す援助として、十分な水分摂取と食物繊維を含む食事の摂取、腹部マッサージ、ウオッシュレットによる肛門刺激、腰背部への温罨法などがあります。
(4)床上排泄の援助方法
・ 床上排泄の患者の援助は、排泄パターンを知り、起床時、食事の前後、就眠前などに定期的に声をかけて、排泄の援助を依頼しやすくします。
・ 排泄時の体位は、腹圧がかかりやすいように上半身を挙上します。
・ 大部屋の場合は、特に臭気の除去や消音などの室内環境を調整する必要があります。
[設問] 排泄行動のアセスメントと援助方法について、正しい文を一つ選べ。
イ 排泄行動を自立させるための援助は、患者の意思を確認しながら、段階的に進める。
ロ 高齢者や長期臥床の患者の場合、自立を促すためにトイレまでの歩行に付き添うようなことは避ける。
ハ 排泄行動の自立度は、移動動作と排泄の後始末で評価する。
ニ 排泄には、年齢や性別、食事や水分摂取は影響するが、心理的ストレスの影響はほとんどない。
正解 (イ)
[設問] 成人では、一日尿量が何mL以上を多尿というか?
イ 3500mL ロ 3000mL ハ 2500mL ニ 2000mL
正解 (ハ)
[設問] 成人では、一日尿量が何mL以下を乏尿というか?
イ 800mL ロ 700mL ハ 600mL ニ 500mL
正解 (ニ)
[設問] 一般に摂取水分量の何%が尿として排泄されるのか?
イ 30%前後 ロ 35%前後 ハ 50%前後 ニ 65%前後 ホ 70%前後
正解 (ハ)
[設問] 便胃が起るのは、直腸内圧が何mmHgになったときか?
イ 10~20mmHg ロ 25~35mmHg ハ 40~50mmHg ニ 55~65mmHg
正解 (ハ)
[設問] 膀胱容量は成人の場合、どれくらいか?
イ 約350mL ロ 500mL ハ 650mL ニ 800mL
正解 (ロ)
[設問] 健康人の尿比重はどれくらいか?
イ 1.010~1.030
ロ 1.040~1.050
ハ 1.060~1.070
ニ 1.080~1.100 正解 (イ)
[設問] 成人の排便量は、一日どれくらいか?
イ 50~100g
ロ 100~250g
ハ 250~300g
ニ 300~450g 正解 (ロ)
[設問]
基礎看護学(13)(基本的日常生活援助技術) [基礎看護学]
4.基本的日常生活援助技術
1)環境を整える技術
(1)病室環境の調整
・ 人間が生命を維持し健康を回復するには生活環境を整えることが大切です。生活環境を構成する因子には、採光や照明、色彩、音、室内気候などがあります。
・ 室内気候を整えるには、温度、湿度、気流の調整が必要となります。
(2)病室の整備
・ 病床は清潔で障害物がなく安全であるとともに、プライバシーが保護され、精神的な安楽が得られるよう整える必要があります。
・ ベッドは患者の病気の種類や回復段階・生活の自立度などに応じて、マットレスの種類やベッドの高さ、必要なリネンなどを選択します。 転落の危険があるときは、ベッド柵を取り付けます。
・ ベッドは安全面と安楽面に配慮し、目的に応じ、クローズドベッドやオープンベッドにします。
2)食生活の援助技術
(1)健康な食生活
・ 豊かな食生活を送れば、身体的な健康が維持されるだけでなく、心理的にも安定します。
(2)栄養状態の評価
・ 栄養状態は、摂取する脂肪、蛋白質、糖質、ビタミン、ミネラルの量とそれらのバランスによって変化するものです。
・ 栄養状態の評価の方法は、身体計測、血液生化学的検査、食事調査が主なものであり、これらに環境要因や心理状態を加えて評価することになります。
・ 身体計測では、身長、体重、体脂肪率、骨格筋量を測定します。
・ 血液生化学的検査では、血清蛋白、窒素平衡、総リンパ球などが指標となります。
(3)摂食行動の評価と援助方法
・ 摂食行動の評価には、摂食能力の評価が必要です。
・ 食事援助方法の選択にあたっては、必要な栄養が安全においしく食べられるように、患者の摂食能力を観察・評価して、個々に応じた援助方法の選択を行います。
(4)病人の食事
・ 食事は、個人の嗜好を尊重することや調理方法、食事時間などへ配慮が必要です。
(5)経管栄養法
・ 経管栄養法は、経口的に食物や水分を摂取できない患者に、消化管内に挿入した管を用いて栄養物を注入する方法です。
・ 経管栄養法には、経鼻経管栄養法と瘻管栄養法があります。
・ 経鼻経管栄養法では誤挿入や誤嚥、長期挿入では併発症など問題が発生するので、長期になる場合は胃瘻や腸瘻などを造設する必要があります。
・ 注入食の温度は、胃や腸管への刺激を少なくするため、37〜38℃とし、注入速度は個々の状態によるが、一般的には100mL/30分に調節します。
・ 注入中の体位は、半座位またはセミファウラー位とし、逆流を防ぐようにします。
・ 経鼻栄養チューブを留置する場合、チューブ内の食物腐敗を防止するための温湯の注入や、使用物品の清潔な取り扱いなど、清潔面での管理を確実に行うことが大切です。
(6)経静脈栄養法
・ 経静脈栄養法は、経口的に栄養摂取ができない場合や栄養が不十分な場合などに、直接血管内に栄養を注入する方法です。
・ 中心静脈栄養法とは、中心静脈カテーテルから糖質、アミノ酸、電解質、ビタミンなどの栄養素を長期間確実に補給する方法です。
・ 正確に輸液を行うには、指示された滴下速度を調整し、管理することが必要となります。 また、カテーテル刺入に伴う感染を防止するため、薬剤の準備の際の無菌操作や刺入部位の観察や管理を適切に行う必要があります。
[設問] 病室環境の調整に関する文で正しいものを一つ選べ。
イ 病室環境は、住居とは違うので診療に便利なように調整されればよい。
ロ 室内気候は温度と湿度だけの調整にしぼる。
ハ 病床は清潔で障害物がなく、プライバシーが保護され、精神的な安楽が得られるように整える。
ニ ベッドはすべてオープンベッドにする。
正解 (ハ)
[設問] 経鼻での栄養チューブの挿入に際して参考となる鼻孔から胃噴門までの長さは次のどれか?
イ 25~35cm ロ 35~45cm ハ 45~55cm ニ 55~65cm
正解 (ハ)
[設問] 経鼻栄養チューブの挿入時の体位は通常どれか?
イ 半座位 ロ 端座位 ハ 起座位 ニ 側臥位
正解 (イ)
[設問] 中心静脈栄養でよく使われるのは、鎖骨下静脈以外ではどれか? 二つ選べ。
イ 大腿静脈 ロ 正中静脈 ハ 内頸静脈 ニ 上大静脈 ホ 下大静脈
正解 (イ、ハ)
基礎看護学(19) (診療に伴う技術)へ ⇒ http://shiratorik-kango.blog.so-net.ne.jp/2013-05-25
基礎看護学(12)(共通基本技術) [基礎看護学]
7)記録・報告
(1)記録・報告の目的
(2)記録の種類(POS、フォーカスチャーテイングを含む)
・ 医療法施行規則により、診療記録には、医師または歯科医師の作成する診療録の他、看護師など医師や歯科医師以外の医療従事者の作成する記録、検査記録も含みます。
・ 看護記録には「個々の患者について書かれる記録」と「日報や月報」などのように看護単位毎に総括的に書かれる記録があり、前者を看護記録といいます。
(3)記録・報告の条件
・ ケアを行った後は、できるだけ早い時点で記録するようにします。
・ 患者の行動や言葉を引用し、事実を正しく記録します。
・ 読みやすいように書きます。
・ 略語を使う時は、各施設のマニュアルに記載され認められている略語のみを使います。
・ 全ての記載に日付と時刻を記入します。
・ 記載者は定められた形式で署名を行います。
・ 訂正は、2本線を引き署名と日時を記載します。
・ 患者にレッテルを貼ったり、偏見による内容を記録しません。
・ 「〜と思われる」「〜のように見える」などあいまいな表現はしないようにします。
[設問] 医療法施行規則による診療記録について正しいものを一つ選べ。
イ 診療記録に含まれるのは、医師または歯科医師の作成する診療録のみである。
ロ 診療記録には検査記録は含まれない。
ハ 診療記録には看護記録は含まれない。
ニ 診療記録には、医師や歯科医師の作成する診療録以外に、それ以外の医療従事者の作成する記録や検査記録も含まれる。
正解 (ニ)
[設問] 看護記録についての説明で正しいものを一つ選べ。
イ ケアを行った後、できるだけ早い時点で記録するようにする。
ロ 患者の言葉は主観的なものなので、引用してはならない。
ハ 日付はすべての記載に記入するが、時刻は必ずしも記入の必要はない。
ニ 「----と思われる」などの表現も患者さんの立場を考慮して使う場合もある。
正解 (イ)
ランダム問題(8) [問題集]
[設問71] ヒトにおいて、すべての血液細胞の基となっている細胞は、次のどれか?
イ 骨髄系幹細胞 ロ リンパ系幹細胞 ハ ES細胞 ニ iPS細胞
正解 (ハ)
ミニ解説: すべての血液細胞は多能性幹細胞から派性する。多能性幹細胞から骨髄系幹細胞とリンパ系幹細胞ができる。ES細胞とは、embryonic stem cellつまり胚性幹細胞のことで、動物の発生初期の胚由来の細胞で、さまざまな異なる細胞に分化することができる多能性を持つ、つまり、多能性幹細胞である。骨髄系幹細胞からは赤血球、白血球、血小板ができる。また、リンパ球系幹細胞からはリンパ球ができる。iPS細胞とは、人工多能性幹細胞のことで、体細胞にいくつかの遺伝子を入れて、文字通り人工的な処理で多能性を持たせたものである。
[設問72] 赤芽球系幹細胞の分化に関わり、赤血球を造血を促すエリスロポイエチンはどこで分泌されるか?
イ 肝臓 ロ 脾臓 ハ 膵臓 ニ 骨髄 ホ 腎臓 正解 (ホ)
[設問73] 組織でマクロファージになるのはどれか?
イ 好中球 ロ 好塩基球 ハ 好酸球 ニ 単球 正解 (ニ)
ミニ解説: マクロファージは単球が分化したものである。単球は骨髄でできるが、血液中から血管壁を通って組織内に入ってマクロファージとなる。
[設問74] 血管内皮細胞から分泌され血小板凝集抑制作用と血管拡張作用を持ち、抗血栓作用を示すものはどれか?
イ プロスタサイクリン ロ エンドセリン ハ カプサイシン ニ トロンボキサン
正解 (イ)
ミニ解説: プロスタサイクリンはプロスタグランディンの一種で、毛細血管から分泌されて血小板凝集抑制作用と血管拡張作用を持つ。
[設問75] 血液凝固に関与する物質を一つ選べ。
イ ビタミンA ロ ビタミンB12 ハ ビタミンC ニ ビタミンE ホ ビタミンK
正解 (ホ)
[設問76] 抗凝固薬ワルファリン投与中に定期的に検査されるのはどれか? 一つ選べ。
イ PT ロ APTT ハ FDP ニ フィブリノゲン 正解 (イ)
ミニ解説: ワ―ファリン投与中の患者では定期的にプロトロンビン時間が測定され、INR(患者のプロトロンビン時間/健常者のプロトロンビン時間)が1.6~2.6または2.0~3.0になるようにワ―ファリンの投与量が調整される。
[設問77] 重症疾患患者で、突然凝固現象が亢進し、その結果凝固因子や血小板が減少し、出血素因が生じるのはどれか?
イ 後天性血友病 ロ 播種性血管内凝固 ハ 紫斑病 ニ 悪性症候群
正解 (ロ)
[設問78] 日本人に最も多いのは次のどの血液型か?
イ A型 ロ B型 ハ AB型 ニ O型 正解 (イ)
[設問79] 日本人で最も少ない血液型は次のどれか?
イ A型 ロ B型 ハ AB型 ニ O型 正解 (ハ)
[設問80] 胎児赤芽球症の原因となるのは次のどれか?
イ 抗A抗体 ロ 抗B抗体 ハ 抗D抗体 ニ 抗核抗体
正解 (ハ)
基礎看護学(11)(共通基本技術) [基礎看護学]
5)効率的で安楽な動きをつくり出す技術
(1)ボデイメカニクス
・ ボデイメカニクスとは、身体の構造や機能が効率的に動くような身体の構えや使い方のことです。
・ ボデイメカニクスは、患者の安全・安楽を確保するだけでなく、看護者の疲労や負担も軽くします。
・ ボデイメカニクスでは、姿勢や体位を整えることと、身体の重心を安定させることがポイントとなります。
・ 看護者は、作業時の背部や腰部への負担を少なくするため、作業面の高さや作業域を考慮した作業スペースを確保します。
・ 作業姿勢の安定性は、支持基底面積と身体の重心が関係しますから、支持基底面を広くとり、膝を曲げて重心を低くし、重心線が支持基底面内を通るような姿勢をとるようにします。
・ 患者移動の時は、患者の四肢を身体に沿わせ重心に近づけるようにします。
・ 基本的な姿勢には、立位・座位・臥位があり、臥位には仰臥位、側臥位、腹臥位があります。エネルギー消費が少ない順序は、臥位、座位、立位の順です。
・ よい姿勢は、関節や筋肉・内臓などへの負担が少なく、エネルギー消費も少なく疲労が少なくなります。
6)観察技術
(1)身体面のアセスメント
・ 体温は、年齢や日差し、運動、食事、入浴、外気温などの影響を受けて変動します。成人の平熱の範囲は、36.0〜37.0℃未満とされています。
・ 体温の測定は、水銀体温計や電子体温計を用いて、腋窩・直腸・口腔などの部位で測定します。体温値の高い順は、直腸→口腔→腋窩となります。
・ 異常熱型には、高熱で1日の体温差が1℃以内の稽留熱(けいりゅうねつ)、1日の体温差が1℃以上の弛張熱(ちちょうねつ)、高熱と平熱が一定期間をおいて交互におこる間欠熱があります。
・ 脈拍は心臓の収縮によって血液が押し出される際に、体表近くの動脈で触知できる拍動です。
・ 脈拍数の正常値は、成人で60〜80回/分、学童で70〜90回/分、新生児で120〜140回/分の範囲です。
・ 血圧は血液が血管壁に作用する圧力であり、左心室の収縮時に受ける圧力を収縮期血圧(最高血圧、最大血圧)、拡張時を拡張期血圧(最低血圧、最小血圧)といいます。
・ 血圧は運動・食事・精神的興奮などによって変動することから、患者の状況を確認し、安静をとらせた後で測定することが必要です。
・ 呼吸は、生体が体内に酸素を取り入れ、代謝産物の二酸化炭素を体外へ排出することです。
・ 呼吸筋は随意筋であり、意識的に呼吸を変化させることが可能である。呼吸測定時、測定していることを患者に気づかれないようにします。
・ 呼吸数の正常値は、成人で15〜20回/分、学童で20〜30回/分、新生児で40〜55回/分の範囲であるが、個人差です。
・ 呼吸の異常
・ 意識レベル評価には、JCSの3−3−9度分類が広く用いられ、患者把握の指標となっています。
・ 身体計測は、発育状態や栄養状態を把握するために、身長・座高・体重・胸囲・腹囲などの体格と肺活量や握力などの体力を計測するものです。
(2)精神面のアセスメント
・ 人間は一時的あるいは不可逆的な健康障害をおこすと、病気や治療、生活などについて様々な不安や恐怖を抱きます。患者や家族のおかれた立場を理解し、精神状態について観察し評価することが必要です。
[設問] ボディメカニクスについて正しい説明文を一つ選べ。
イ ボディメカニクスを取り入れると、患者の安全や安楽にはよいが、看護者の負担は減らない。
ロ 作業姿勢を安定させるためには、支持面積を狭くする。
ハ 作業では重心を高くする。
ニ ボディメカニクスとは、身体の構造や機能が効率的に動くような身体の構えや使い方のことである。
正解 (ニ)
[設問] 一日の体温差が1℃以内の高熱を何というか?
イ 稽留熱 ロ 弛張熱 ハ 間欠熱 ニ 安定高熱 正解 (イ)
[設問] 新生児の脈拍の範囲で正しいものを選べ。
イ 80~90/分 ロ 90~100/分 ハ 100~120/分 ニ 120~140/分 ホ 140~160/分
正解 (ニ)
[設問] 成人の呼吸数の範囲はどれか?
イ 10~15/分 ロ 15~20/分 ハ 20~25/分 ニ 25~30/分
正解 (ロ)
[設問] 糖尿病性昏睡などでみられる連続する深い呼吸は何というか?
イ チェーンストークス呼吸
ロ ビオー呼吸
ハ クスマウル呼吸
ニ 過呼吸 正解 (ハ)
[設問] JCSの意識レベル評価で、大声または身体を揺さぶると開眼する意識レベルは次のどれか?
イ 2 ロ 20 ハ 30 ニ 100 正解 (ロ)