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成人看護学(37)(栄養摂取・代謝障害を持つ患者への看護) [成人看護学]

9)脂質・尿酸代謝異常の観察とアセスメント

(1)身体・血液所見、食生活の正常性

(A)脂質代謝

血清脂質の異常.png

・ 高脂血症では、黄色腫がみられることがあります。

・ コレステロールが高い人は、コレステロール摂取量を300mg/dL/日以下に抑えるようにします。  中性脂肪が高い人は、肥満対策、アルコールの摂取制限、糖質の制限が必要となります。

(B)尿酸代謝

・ 尿酸は、体内で合成されたプリン体とATP・GTPの構成物質の最終代謝産物で、尿酸値7.0mg/dL以上を高尿酸血症とします。  この内、痛風の発症率は10〜20%くらいです。  尿酸結晶が関節炎をおこし、急激な痛み発作をおこすのを痛風発作といいます。  関節炎は第1中趾節関節におこりやすいとされます。

・ 生活指導は、肥満の改善、過度な運動の制限、アルコール摂取制限が主体となります。

・ 尿のpHが下がると尿酸結石ができやすいため、尿をアルカリに保つようにします。  また、尿量を2000mL/日以上に保つようにします。

(2)障害の原因

・ 高脂血症は動脈硬化を進行させ、動脈硬化性疾患、脂肪肝などの合併症をおこします。

・ 痛風発作は、飲酒・過度の運動による脱水、過労などによる血清尿酸値の急激な上昇を契機に誘発されます。

(3)心身・日常生活への影響

・ 高脂血症は自覚症状のない、いわゆる「サイレントキラー」です。自覚症状がないため、生活の再調整が困難であることが多いようです。

・ 痛風発作は、1〜2週間の疼痛発作で、その間は歩行、体動が困難となり、日常生活に支援が必要となります。  この場合、プリン体の多い食事内容、飲酒の習慣など社会生活の楽しみ方を見直す必要があります。

[設問] 高脂血症の患者の皮膚所見として知られるものは次のどれか?

イ 血管腫  ロ 黄色腫  ハ 被角血管腫  ニ 黒色腫

                             正解 (

[設問] 高コレステロール血症とされるのは、血清総コレステロールがいくら以上の時か?

イ 260mg/dL  ロ 240mg/dL  ハ 220mg/dL  ニ 200mg/dL

                             正解 (

[設問] 痛風発作のおこりやすい関節はどれか?

イ 第1中趾節関節

ロ 第2中趾節関節

ハ 第3中趾節関節

ニ 第4中趾節関節            正解 (


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成人看護学(36)(栄養摂取・代謝障害を持つ患者への看護) [成人看護学]

(3)糖尿病の食事療法・運動療法の指導

糖尿病の食事療法.png

・ 運動療法は、骨格筋におけるブドウ糖利用の促進やインスリン抵抗性の改善、ストレス解消を目的として行います。  運動による低血糖には注意が必要です。  運動の強度は、軽い運動から徐々に強度を増していき、最大酸素消費量の40〜60%、脈拍120/分、60歳以上では100/分程度を目安とします。  有酸素運動を1回15〜30分、週3回以上継続して行うよう勧めます。

(4)糖尿病の合併症予防の生活指導

・ 自己管理が主体的にできるように、体重、血糖、尿糖、血圧のセルフモニタリングを指導します。

・ 合併症の早期発見のために、専門医を定期的に受診してもらうようにします。

・ 腎症の管理では、持続的蛋白尿が検出されるようになった際は、蛋白質制限食と血圧の管理が必要となります。

・ 感染予防、フットケア(足の趾間は不潔になりやすいですよ)に注意を払うよう指導します。

[設問] 糖尿病の食事療法に使われる食品交換表の1単位は何カロリーにあたるか?

イ 50kcal

ロ 80kcal

ハ 100kcal

ニ 120kcal                    正解 (

[設問] 糖尿病の運動療法の運動強度は最大酸素消費量の何%を目安とするか?

イ 10~20%  ロ 20~30%  ハ 40~60%  ニ 60~80%

                             正解 (

[設問] 糖尿病運動療法では、有酸素運動を1回15~30分、週何回以上継続して行うように指導するか?

イ 1回   ロ 2回   ハ 3回   ニ 4回   ホ 5回

                             正解 (


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成人看護学(35)(栄養摂取・代謝障害を持つ患者への看護) [成人看護学]

8)糖代謝障害の主な看護

(1)インスリン療法、経口糖尿病薬の服薬指導

・ 糖尿病の薬物療法には、インスリン療法と経口糖尿病薬療法があります。

・  インスリン療法は、1型糖尿病、糖尿病性昏睡、糖尿病妊婦、重症感染症や外科手術・外傷時、ステロイド糖尿病、食事療法や運動および経口糖尿病薬でもコントロールが不十分な2型糖尿病に用いられ、自己注射が主流となります。

・  糖尿病の薬物療法に際しては、薬剤の目的、種類、用法、用量だけでなく、低血糖の危険性と予防、低血糖症状と対策、シックデイ(薬物療法中に嘔吐、下痢、食欲不振、発熱、外傷などが併発した場合)の対策について詳しく指導します。シックデイの場合、自己判断で対処せず、医師の診察を受けるよう指導します。

・ 低血糖では、発汗、動悸、振戦などの自律神経症状と、判断力低下、集中力低下、眠気、めまい、意識混濁、けいれんなどの中枢神経症状がおこります。

低血糖.png

(2)インスリン自己注射の指導

・ インスリン自己注射の際は、インスリン製剤の種類、特徴、注射の手技、注射時刻、注射部位、注射液の保存について指導します。

・ インスリン製剤には、超速効型、速効型、中間型、持続型、持効型と速効型と中間型の混合製剤があり、それぞれ作用時間が異なります。

・ インスリン注射には、バイアル型注射器を使う時とペン型注射器を使う場合があります。  最近はペン型注射器の使用が多くなっています。

・ ペン型注射器の使用は、インスリン製剤の入ったカートリッジを注射器にセット→注射器を軽く振って混和する→カートリッジのゴム栓をアルコールで消毒する→注射針を取り付けダイヤルを2単位に合わせて、空打ちして空気を抜く→ダイヤルを回して必要単位に設定して注射→注射針を取り外して瓶やプラスチック容器に入れる→注射器は室温で保管す
る、といった手順で行います。  カートリッジは空になれば、新しいものと交換し、使用済みの針は医療機関で廃棄してもらうよう指導します。

・ 注射時刻は速効型や混合型では、食前30分であり、超速効型は食直前となります。  注射部位は、上腕部、腹部、臀部、大腿部の皮下が適当ですが、吸収の速さは、腹部、上腕部、臀部、大腿部の順となります。  注射部位を揉んだり温めたりすると吸収は速くなります。  注射部位は、注射のたびに約2cmずつ離すようにし、皮膚の硬化を防ぎます。

・ インスリン注射液は、15℃以下での冷所保存が必要です。

[設問] 治療中の糖尿病患者が発熱、嘔吐、下痢、食思不振、外傷などを併発して、食事を摂れない状況を何というか?

イ 糖尿病ケトアシドーシス

ロ 高浸透圧高血糖症候群

ハ 乳酸アシドーシス

ニ シックディ                   正解 (

[設問] 低血糖症状の組み合わせを選べ。

イ 発汗・振戦・集中力低下

ロ 体動時の息切れ・咳・排痰

ハ けいれん・眼球偏倚・意識障害

ニ 胸痛・食思不振・嘔吐               正解 (

[設問] 超速効型インスリンの注射の投与は次のどれか適当か?

イ 食前  ロ 食後  ハ 食直前  ニ 食直後  ホ 食間

                              正解 (


 


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成人看護学(34)(栄養摂取・代謝障害を持つ患者への看護) [成人看護学]

7)糖代謝障害の観察とアセスメント

(1)血糖・尿糖の測定法

・ 血糖の測定法には、空腹時血糖と随時血糖、75gブドウ糖負荷試験、血糖日内変動、および血糖自己測定があります。

・ 75gブドウ糖負荷試験は、75gブドウ糖液を内服し、負荷前、負荷30分、60分、120分後に採血します。

・ 尿糖の測定は、試験紙に尿をつけることで尿糖の定性・半定量検査を行うものです。

(2)摂取・消費エネルギーの算出

必要エネルギー.png

(3)身体所見、血液・尿検査、神経学的所見の正常とは

・ 血糖正常値は、空腹時で110mg/dL未満、75gOGTT2時間で140mg/dL未満です。

・ 血糖コントロールの目安としてHbA1c(JDS)が用いられ、6.5%未満が合併症予防の目安とされてきました。  2012年4月からは国際的に使われているHbA1c(NGSP)が日本でも採用されました。  そのため、値が0.4%高くなります。下の表はJDSでのものなので、NGSPでは0.4%プラスする必要があります。

糖尿病管理の指標.png

・ 血糖値がおおよそ170mg/dLを超えると尿糖が出現します。  腎性糖尿は、腎臓の糖排出の閾値が低いために、それよりも低い血糖値で尿糖が陽性になります。

・ C-ペプチド活性(CPR:C-peptide reactivity)は尿や血中のC-ペプチドを測定し、膵β細胞からのインスリン分泌能を検査するものです。  24時間尿で20μg未満、食後2時間の血液で1.0ng/mL未満ならば、インスリン分泌能がほとんどないと判断します。

・ 糖尿病の合併症である神経障害をスクリーニングする方法は、アキレス腱反射や振動覚検査、神経伝導速度、自律神経機能検査などがあります。

(4)障害の原因と程度

・ 1型糖尿病の原因は、自己免疫性または特発性とされ、遺伝との関係は薄いといわれています。  膵臓のβ細胞が破壊されインスリンが絶対的に不足しますので、インスリン注射が必須となります。

・ 2型糖尿病は、遺伝的素因に不適切な生活習慣が合わさって発症します。  インスリンの分泌能の低下と、インスリン抵抗性の増大のため、インスリンが相対的に不足した状態です。  近年は若年者でも増加しています。

・ 糖尿病の病期は、1型でも2型でも、正常領域から、境界領域、インスリン非依存の糖尿病領域、インスリン依存状態の糖尿病領域に分類されます。

(5)心身・日常生活への影響

糖尿病の症状.png

・ 下肢の神経障害と循環障害によって壊疽がおこり、下肢切断となる患者もみられます。

[設問] サラリーマンなどの中等度の生活活動での必要摂取エネルギーは次のどれか?

イ 25kcal/kg

ロ 30kcal/kg

ハ 35kcal/kg

ニ 40kcal/kg                   正解 (

[設問] 空腹時血糖の正常値は何mg/dL未満か? 次から選べ。

イ 90mg/dL  ロ 100mg/dL  ハ 110mg/dL  ニ 120mg/dL

                                                          正解 (

[設問] 血糖コントロールの合併症予防の目安とされるのは、NGSPのHbA1cで何%未満か? 次より選べ。

イ 5.8%  ロ 6.2%  ハ 6.5%  ニ 6.9%

                              正解 (

[設問] 糖尿病の三大合併症の組み合わせは次のどれか?

イ 網膜症・腎症・神経障害

ロ 網膜症・虚血性心疾患・神経障害

ハ 脳卒中・腎症・神経障害

ニ 脳卒中・虚血性心疾患・腎症        正解 (



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成人看護学(33)(栄養摂取・代謝障害を持つ患者への看護) [成人看護学]

(7)肝性脳症の予防と生活指導

・ 肝性脳症の予防には、便通を整え、アミノ酸を制限した食事、感染予防のために身体の清潔、口腔内の清潔、手洗いなどを指導します。  掻痒感を軽減するためには、刺激の少ない寝具や衣類を使ってもらい、薬剤投与なども考慮してもらいます。

・ 肝性脳症でおこる、食欲不振、全身倦怠感、羽ばたき振戦、肝性口臭、精神神経症状、睡眠パターンの不順などが出現しないか観察します。

(8)浮腫・腹水の生活指導

・ 腹水で横隔膜が挙上している時は、セミファウラー位をとらせると呼吸が楽になります。

・ 安静により、腎血流や心拍出量が増加し、尿量が増え浮腫が軽減します。

・ 食事では、塩分と水分を制限する。また、高蛋白食とします。

・ 利尿剤投与により、低カリウム血症、低ナトリウム血症、脱水などがおこることがあるので、注意します。

・ 皮膚と粘膜は薄くなり、抵抗力が低下しているので感染や褥瘡を生じやすいので、清潔を保つことが必要です。

(9)黄疸の生活指導

黄疸の指導.png

[設問] 肝性脳症の生活指導で正しいものを一つ選べ。

イ 便通を整えさせる。

ロ アミノ酸の多い食事を摂取させる。

ハ 便通を整えるためにピーナツなどを摂取させる。

ニ 水分摂取は極力控えさせる。          正解 (

[設問] 浮腫・腹水の生活指導で正しいものを一つ選べ。

イ 腹水で横隔膜挙上があるときは、セミファウラー位をとってもらう。

ロ 安静は避け、なるべく活動するように指導する。

ハ 食事では、塩分を増やしてもらう。

ニ 低たんぱく食とする。                正解 (


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成人看護学(32)(栄養摂取・代謝障害を持つ患者への看護) [成人看護学]

(4)肝切除術の合併症予防と生活指導

肝切除の指導.png

・ 生活指導では、十分なカロリー、良質な蛋白質、ビタミンを含む食事を摂取し、禁酒を守るよう指導していきます。

・ 活動は血清トランスアミラーゼ値を参考にしながら、拡大していきます。

・ 入浴は、食後2時間以内は避け、短時間の入浴とします。

・ 腸管内でのアンモニアの発生を抑えるため、便通を整えます。

・ 歯肉からの出血がおこりやすいので、歯ブラシは柔らかいものにし、転倒をおこさないよう注意させます。

・ 腹水の早期発見のために、体重測定を毎日行うよう指導します。

(5)肝動脈塞栓術の合併症予防と生活指導

・ カテーテル挿入による血管損傷からの腹腔内出血をおこすことがあり、バイタルサイン、腹痛、腹満感などの腹部症状に注意する必要があります。

・ カテーテル挿入による血栓形成もありえますので、足背動脈を触知して、拍動の有無と左右差を観察します。

・ 水分摂取を促し、発熱があればクーリングや解熱剤で対処します。

(6)食道静脈瘤の破裂予防と破裂時の対応

トイレにて.png

・ 利尿剤使用時は、急激に腹圧が低下し、破裂する可能性があるので注意する必要があります。

・ 破裂時は、大量出血がある場合はショックに陥りやすいので、バイタルサインをチェックし、窒息をおこさないよう、気道を確保します。

・ 食事は絶飲食になるため、口腔内の清潔を保持します。 含嗽の時には、誤嚥に注意します。

・ 吐血時は、S−Bチューブ(ゼングスターゲンブレイクモアチューブ)が挿入されますので、咽頭痛や喉頭の不快感が生じるため、会話は避けるようにします。

[設問] 肝切除術後の合併症で、予後を左右する重要なものを二つ選べ。

イ 肺炎  ロ 術後肝不全  ハ 術後出血  ニ 腎盂炎  ホ 心不全

                    正解 (

[設問] 肝切除術後の生活指導で便通を整えるようにするのは何のためか?

イ イレウスを防ぐため

ロ アンモニアの発生を抑えるため

ハ ダンピング症候群を避けるため

ニ 出血防止のため               正解 (

[設問] 食道静脈瘤患者の指導で正しいものを一つ選べ。

イ 緩下剤を使って便通を整えさせる。

ロ アルコールは控える必要はない。

ハ 下痢にならないよう止瀉薬を服用させる。

ニ 辛いものを食べるようすすめる。           正解 (


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成人看護学(31)(栄養摂取・代謝障害を持つ患者への看護) [成人看護学]

6)肝機能障害の主な看護

(1)肝生検時の援助

肝生検時の援助.png

(2)インターフェロン療法時の生活指導

・ インターフェロン療法は、抗ウイルス療法の一種で、主にC型肝炎の治療に使われます。

・ インターフェロン製剤は、主にα型とβ型が使われ、α型は筋肉注射、β型は静脈注射により投与されます。

・ インターフェロン療法の副作用は、その発現時期により、初期、中期、後期に分類され、初期のものは大半の患者でみられますが、中期、後期のものの頻度は多くはありません。

インターフェろん副作用.png

・ 初期の副作用には、解熱鎮痛薬を使って症状の緩和が図られます。 中期におこる白血球や血小板減少は、感染予防や出血予防について指導して対処します。 後期の副作用である脱毛に対しては、治療終了後6ヶ月くらいで回復することを説明することで対処します。

(3)食道静脈瘤硬化療法の合併症予防

・ 経内視鏡的硬化療法(ELS:endoscopic injection sclerotherapy)とは、食道静脈瘤に直接針を刺して硬化薬を注入する方法です。

・ 経内視鏡的硬化療法による合併症、食道潰瘍、びらん性出血、食道狭窄、胸水貯留、腎機能障害、血圧低下(ショック)、胸痛、発熱などがあります。

・ 経内視鏡的硬化療法後に潰瘍の形成や出血がある場合は、経口食は止め、粘膜保護薬を投与します。

・ 経内視鏡的硬化療法後の腎障害は、硬化薬の血中移行による腎の直接障害と溶血反応による遊離ヘモグロビンによって発生します。 腎障害がおきたら、ハプトグロビンの点滴静注を行います。

・ 経内視鏡的硬化療法の施行前に、肝機能、止血機能の検査データを確認します。 また、内視鏡検査や硬化療法に対する強度の恐怖心や不安についてアセスメントし、検査の目的・方法、必要性を説明し、十分理解を得るようにします。

[設問] 肝生検後の合併症は、生検後のある時間帯に集中する。それはどれか?

イ 3時間以内  ロ 3~12時間後  ハ 12時間~24時間後  ニ 24時間~2週間後

                                正解 (

[設問] インターフェロン療法の副作用で、2カ月以降の後期にみられるものはどれか?

イ 発熱  ロ 頭痛  ハ 嘔吐  ニ 脱毛

                                正解 (

明日から4日間九州へ墓参りに帰ります。7月17日(水)よりブログ再開します。(白鳥恭介)


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成人看護学(30)(栄養摂取・代謝障害を持つ患者への看護) [成人看護学]

(3)肝性脳症での意識レベル・内容の観察法

肝性脳症レベル.png

・ 肝性脳症の症状には、意識障害、性格異常、見当識障害などの精神症状と羽ばたき振戦、腱反射異常、筋緊張亢進などの神経症状があります。

・ 血中に増加するメルカプタン臭により、独特の甘みのある肝性口臭がみられます。

・ 血液生化学検査では、血中アンモニア、肝機能、尿素窒素、電解質の値に注意します。

(4)身体所見、血液検査

・ 肝硬変では、黄疸、手掌紅斑、腹部血管の怒張、クモ状血管腫、女性化乳房、腹水・浮腫、羽ばたき振戦などの肝性脳症の症状がみられます。

クモ状血管腫.png

・ 血清ビリルビン値が2mg/dL以上になると眼球黄染がみられます。

・ 血液凝固因子の合成能が低下すると、歯肉出血、鼻出血、皮下出血、血尿がみられます。

・ 血清アルブミンが低下すると倦怠感、浮腫、腹水を生じます。

(5)心身・日常生活への影響とコントロール

・ 食事は高カロリー、高蛋白、高ビタミン食を摂取させます。しかし、肝性脳症があれば、蛋白質は制限します。

・ 皮下出血がある患者は、肝臓におけるプロトロンビン合成のためビタミンKを含む食品の摂取を促します。

・ 肝血流を増加させるために肝機能に応じた安静を促します。

・ 腹水がある場合は、塩分と水分の摂取を制限します。 また、腸管細菌を抑制し、腸管内のアンモニアを発生しにくくするため、抗生物質やラクツロースを投与し、便秘対策に緩下剤などを使います。

[設問] 肝性脳症などの代謝性脳障害でみられる特徴的な脳波所見は次のどれか? 一つ選べ。

イ 三相波  ロ 棘波  ハ 平坦脳波  ニ 鋭徐波結合

                  正解 (

[設問] 肝性脳症でみられることのある振戦は次のどれか?

イ 安静時振戦  ロ 羽ばたき振戦  ハ 企図振戦  ニ 動作時振戦

                  正解 (

[設問] 肝硬変患者の皮膚にみられる赤い丘疹はどれか?

イ 被角血管腫  ロ 母斑  ハ クモ状血管腫  ニ 海綿状血管腫

                  正解 (

[設問] 眼球黄染がみられるのは血清ビリルビン値がどれくらい以上になった時か?

イ 0.5mg/dl  ロ 1mg/dl  ハ 1.5mg/dl  ニ 2mg/dl

                  正解 (

 


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成人看護学(29)(栄養摂取・代謝障害を持つ患者への看護) [成人看護学]

5)肝機能障害の観察とアセスメント

(1)肝肥大の観察

・ 肝臓の肥大が高度になると触診で、硬度が増し鈍になった肝臓の辺縁が呼気でも吸気でも触知できるようになります。

肝臓下縁.png

(2)黄疸・腹水の観察法

・ 黄疸の観察は、明るい場所や昼光下で行い、皮膚、眼球結膜、強膜などの黄染状態をみます。

・ 黄疸があると、尿はビリルビン尿のため濃い黄色となります。

・ 便の色は、溶血性黄疸では濃褐色、閉塞性黄疸では白土粘土様になると言われます。

・ 腹水のある部位は、打診で濁音となります。また、仰臥位で鼓音のところが側臥位で下になると濁音に変わったりします。 仰臥位の時、腹水が腹腔の両側に分かれ、腹部が平たんに見える 「カエル腹」 がみられることがあります。

・ 腹水が大量になると、一側の側腹部から衝撃を軽く加えると、反対側で波動を感じることができます。

腹水.png

[設問] 閉塞性黄疸患者の便は次のどれか?

イ 濃褐色

ロ 白土粘度様

ハ 黒色

ニ 緑色           正解 (

[設問] 腹部が平坦に見える「カエル腹」は何の時にみられるか?

イ イレウス

ロ 潰瘍性大腸炎

ハ 腹水

ニ 過敏性腸症候群           正解 (


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成人看護学(28)(栄養摂取・代謝障害を持つ患者への看護) [成人看護学]

(7)胃・十二指腸潰瘍の生活指導

潰瘍の生活指導.png

(8)膵炎の生活指導

・ 急性膵炎の生活指導では、過労や過激な運動を避け、睡眠を十分にとらせます。  食事は低脂肪食とし、暴飲暴食、アルコール、カフェイン、炭酸飲料を禁止します。

・ 慢性膵炎の生活指導では、糖質を中心とした低脂肪食とし、禁酒を指導します。  膵外分泌機能を維持するため、制酸薬と自律神経遮断薬が投与されるので、服薬指導を行います。

(9)腹痛、嘔吐、下血、下痢の看護

(A)安楽な体位

シムス位.png

・ 嘔吐時や吐血時は、誤嚥を防ぐため側臥位にするか、顔を横に向けさせます。

(B)罨法

・ 嘔吐時、吐血時は胃の鎮静を図るため、胃部の冷罨法を行います。

・ 腹痛時は腹部の温罨法を行うと痛みが緩和されます。

・ 下血、下痢時は、貧血や脱水、体力の消耗が生じるため、保温に努めます。

(C)食事

・ 嘔吐や下痢が激しい場合は、脱水になりやすいので、水分や電解質バランスに注意します。

・ 嘔吐や腹痛が激しい場合は、禁食にすることもあります。

・ 吐血、下血時は、絶飲食にして消化管の安静を図ります。

・ 下痢時の食事は、消化のよいものにします。炭酸飲料、食物繊維が多い食品、冷たい飲食物は避けさせます。

(D)清潔

・ 嘔吐・吐血後は含嗽や口腔清拭を行います。

・ 下血時や下痢時は肛門周囲のびらんがおこりやすいので、肛門部の清拭や洗浄を行います。

[設問] 胃・十二指腸潰瘍の生活指導で正しいものを一つ選べ。

イ 繊維の多いものを食べるように指導する。

ロ アルコールは避けるように指導する。

ハ 食事の一回量を多くするように指導する。

ニ 食事の回数は少なくするよう指導する。          正解 (

[設問] 慢性膵炎の生活指導で正しいものを一つ選べ。

イ 食事は低脂肪食とする。

ロ 炭酸飲料は爽快感を与えるので勧める。

ハ 禁酒は必要ない。

ニ 高蛋白で糖分の少ない食事にする。          正解 ()        


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