成人看護学(84)(排泄機能障害を持つ患者の看護) [成人看護学]
4)排便機能障害への主な看護
(1)大腸ファイバースコープ、直腸診時の援助
・ 直腸診では、患者が截石位または左側にシムス位がとれるように援助します。
・ 直腸診では、患者に排便時と同様に腹圧をかけてもらうと検者の指が挿入しやすくなります。
・ 直腸診では、挿入した指が直腸壁に圧をかけ便意がおこることがあることを説明しておきます。
(2)人工肛門造設術後の合併症予防と生活指導
(A)人工肛門造設術後の合併症予防と生活指導
・ ストーマサイトマーキングは立位で行います。
・ ストーマの異常(出血、壊死、脱落、ヘルニア)を早期に発見するために、ストーマの色、浮腫、出血、脱出、疼痛を観察します。
・ ストーマ周囲の皮膚では、発赤、びらん、掻痒感を観察し、異常がみられれば、皮膚保護剤を変更してみます。
・ 手術後は早期離床を行い、肺合併症、術後イレウス、縫合不全を予防します。
・ 骨盤腔内の手術操作で、神経因性膀胱を生じた場合は、間欠的自己導尿を指導します。
・ 骨盤腔内の手術操作で、男性は勃起障害、射精障害が生じ、女性は膣の狭小化、会陰部痛や性交痛が生じることがあります。 そのため、不安や苦痛が解決できるように援助する必要があります。
・ 定期的な排便を希望する場合は、浣腸排便法を指導します。
・ 下痢をもたらす食品、ガスや悪臭を発生しやすい食品は避けるように指導します。
・ 衣類は、ストーマを締め付けるものでなければ制限はありません。 ストーマがベルトライン上にある時は、サスペンダーを使用します。
・ 銭湯や温泉に行くときは、入浴用の小さなパウチの装着が有用です。
・ 腹圧が極度に上昇する運動や作業は避けてもらいます。
・ 性生活では、性交の前にパウチを空にしておきます。
・ 永久ストーマ造設の場合、障害年金と身体障害者福祉法の適応がありますので、身体障害者手帳やストーマ用装具の交付が受けられることを説明しておきます。
[設問] 人工肛門造設術の際のストーマサイトマーキングを行う体位はどれか?
イ 左側臥位 ロ 仰臥位 ハ 立位 ニ シムス位
正解 (ハ)
[設問] 骨盤腔内の手術操作で起きやすい合併症は次のどれか? 二つ選べ。
イ 尿路感染症 ロ イレウス ハ 勃起障害 ニ 射精障害 ホ 褥瘡
正解 (ハ、ニ)