人体の構造と機能 第91回(感覚器系) [人体の構造と機能]
《機能と生理》
A)全体
・音をとらえ、聴覚情報として脳に伝える機能と、空間的感覚情報を脳に伝える機能を併せ持っています。
B)平衡感覚
・三半規管の膨大部稜(ぼうだいぶりょう)と卵形嚢と球形嚢の感覚上皮が感覚受容器です。感覚細胞の上にゼラチン状の構造物であるクプラが乗っていて、身体がゆれるとクプラと内リンパは静止しているので感覚毛(または平衡毛)がよじれて有毛細胞(ゆうもうさいぼう)が興奮して刺激となり、前庭神経に伝わるしくみです。
C)聴覚
・音は外耳道を経て、鼓膜を振動させ、振動は耳小骨を経て前庭窓(ぜんていそう)に伝わり、蝸牛菅内の内リンパ液の波動が、ラセン神経節のニューロンを興奮させ、蝸牛神経を経て脳へと伝えられます。
[設問] 下記の文で正しいものを一つ選べ。
イ 聴覚情報を脳に伝えるのが蝸牛神経で、平衡感覚情報を脳に伝えるのが前庭神経である。
ロ 平衡感覚の感覚上皮は、三半規管の膨大部稜のみにある。
ハ 身体が揺れると、クプラと内リンパが動き、感覚毛がよじれて有毛細胞が興奮する。
ニ アブミ骨から音の振動を受けるのは正円窓あるいは蝸牛窓といわれるものである。
正解 (イ)
人体の構造と機能 第90回(感覚器系) [人体の構造と機能]
(2)耳
《構造》
A)全体
・耳が外耳、中耳、内耳から構成されています。
B)外耳
・外耳は、耳介(じかい)と外耳道(がいじどう)からなるものです。外耳道の長さは、約2.5cmでS字状に曲がっています。
・外耳と中耳を仕切るように鼓膜があります。鼓膜は、厚さが約0.1mm、直径が約9mmの卵形の線維性の膜です。
C)中耳
・中耳は、側頭骨の中にあって、鼓室(こしつ)とも呼ばれます。3個の耳小骨(じしょうこつ)が連なっていて、鼓膜の振動は、この耳小骨を介して前庭窓で内耳のリンパ液に伝わります。
・中耳は、上咽頭とつなぐ耳管(じかん)、またの名をエウスタキオ管という管と連絡があります。
D)内耳
・内耳には、蝸牛、前庭(蝸牛と三半規管の間にあって卵形嚢と球形嚢が中にあります)、三半規管があります。
・聴覚受容器は蝸牛に、平衡感覚器は前庭・三半規管にあります。
[設問] 耳小骨を音が伝わる順序で正しいのはどれか?
イ キヌタ骨→ツチ骨→アブミ骨
ロ キヌタ骨→アブミ骨→ツチ骨
ハ ツチ骨→キヌタ骨→アブミ骨
ニ ツチ骨→アブミ骨→キヌタ骨
正解 (ハ)
[設問] 内耳の構成物は次のうちどれか? 二つ選べ。
イ 蝸牛 ロ 耳小骨 ハ 三半規管 ニ 耳管 ホ 鼓膜
正解 (イ、ハ)