人体の構造と機能 第32回(心臓・血管系〔循環器系〕の構造と機能) [人体の構造と機能]
6.心臓・血管系(循環器系)の構造と機能
1)概念
・細胞が生命活動を維持するために取り入れた栄養素と酸素を全身に運び、老廃物と二酸化炭素などを排泄器官に運ぶ流通路であり、免疫系の細胞を循環させているのが循環器系です。
・循環器系には、心臓、血管(動脈、静脈、毛細血管)、リンパ系(リンパ節、リンパ管)が含まれます。
2)循環器系の器官の構造と機能
(1)心臓
《構造》
A)心臓の大きさと位置について
・心臓は重さ200~300gで、横隔膜の上にあり、胃の噴門と向き合う位置にあります。
・心臓の右縁は胸骨の右縁に、左縁は左乳頭線の内側、下端の心尖部は左第5肋間、上端の心底部は第2肋間に位置しています。
B)心房と心室
・心臓は、左右の心房と心室という4つの部屋からなり、左右の心房、心室は心房中隔と心室中隔によって仕切られています。
・心房と心室、心室と動脈の間には弁があり、血液の逆流を防いでいます。
・房室弁は心房への血液の逆流を防いでいます。左心の房室弁が僧帽弁、右心の房室弁が三尖弁と呼ばれ、弁の先端には腱索が付着し、心室壁の乳頭筋につながっています。
・肺動脈弁と大動脈弁は、動脈から心室への血液の逆流を防いでいます。
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人体の構造と機能 第31回(消化器系の構造と機能) [人体の構造と機能]
(15)腸管から吸収されたあとの栄養素はどこへ?
A)糖
・小腸で吸収されたグルコースは、門脈を通って肝臓に運ばれ、そこでグリコーゲンに変換されて貯蔵されます。グリコーゲンは、体内でエネルギーが必要になった時、代謝され(解糖といいます)、エネルギー産生へ利用されることになります。余分な糖はTCA回路を経由して脂肪酸合成へ向かい、中性脂肪として脂肪組織に蓄えられることになります。
B)脂質
・小腸で吸収された脂肪酸とグリセロールは、小腸粘膜で中性脂肪へ再合成されます。その後はリンパ管、胸管を経て、リポ蛋白の形で大循環血流に入り、肝臓へ取り込まれることになります。一部の炭素数の少ない脂肪酸は、リンパ系を経ずに、門脈から肝臓へと運ばれていきます。
・肝臓では、脂肪酸の分解、合成、複合脂質の合成などが行われます。
・余分な脂質は、中性脂肪として脂肪組織に蓄えられることになります。
C)アミノ酸
・小腸で吸収されたアミノ酸は、門脈経由で肝臓に運ばれ、さまざまな蛋白の合成に使われます。
・肝臓では、アルブミン、グロブリン、血漿蛋白、凝固因子などの合成に使われます。
・余分なアミノ酸は、窒素酸化物、アンモニアなどを経て、尿素となり、最終的には尿から排泄されます。
・脱アミノ化反応を経てエネルギー産生に使われるものもあります。また、アセチルCoAを経て、コレステロール合成に使われたり、TCA回路を経て脂肪酸合成に使われる場合もあります。
以上で、消化器系は終了です。次回からは、循環器系に入ります!
人体の構造と機能 第30回(消化器系の構造と機能) [人体の構造と機能]
C)蛋白質
・蛋白質は約20種類のアミノ酸が結合してできたのもです。
・食餌中の蛋白質は、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、カルボキシぺプチダーゼ、エレプシン(アミノぺプチダーゼ)でアミノ酸に分解され吸収されます。
補)核酸は、膵液のヌクレアーゼ(リボヌクレアーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ)で分解されます。
D)ビタミン、ミネラルなど
・脂溶性ビタミン(A,D,E,K)、水溶性ビタミン(B群、C、ニコチン酸)、葉酸、電解質などが吸収されます。
E)水分の吸収
・成人では1日あたり約2Lを経口摂取し、消化管から約7Lの水分が分泌されています。よって、計9Lの水分が腸管に流れ込むことになります。
・腸で吸収される水分の80%以上が小腸で吸収され、残りが大腸で吸収され、一部が大便中の水分として排泄されることになります。
人体の構造と機能 第29回(消化器系の構造と機能) [人体の構造と機能]
(14)消化管内での消化と吸収のまとめ
A)炭水化物
・食餌中の炭水化物には多糖類、2糖類、単糖類があります。
・デンプン、グリコーゲンは多糖類です。マルトース(麦芽糖)、ショ糖、ラクトース(乳糖)は2糖類です。そして、単糖類には、6単糖(グルコース、フルクトース、ガラクトース)と5単糖(デオキシリボース、リボース)があります。
・単糖類はそのまま小腸で吸収されていきます。
・2糖類、多糖類は、唾液中のプチアリン、膵アミラーゼ、マルターゼ、ラクターゼ、スクラーゼの作用で、グルコース、フルクトース、ガラクトースの単糖類に分解されて小腸から吸収されます。
B)脂質
・食餌中の脂質には、脂肪酸、トリグリセリドなどの単純脂質、リン脂質や糖脂質などの複合脂質、コレステロールなどの誘導脂質があります。
・脂質は胆汁酸塩の作用を受けて、ステアプシン(膵リパーゼ)、腸リパーゼで脂肪酸、グリセロール、モノグリセリドに分解されて小腸で吸収されます。