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人体の構造と機能 第28回(消化器系の構造と機能) [人体の構造と機能]

(11)消化管の運動

・消化管は摂取した食物を移送、消化するために運動を行っています。そして、その運動には、蠕動運動(ぜんどううんどう)、分節運動(ぶんせつうんどう)、振り子運動(ふりこうんどう)があります。蠕動運動は食物を移送するために、分節運動と振り子運動は食物と消化液を混ぜる役割を持っています。

ぜんどう運動.png

(12)消化管の血管支配

・食道の上部は、大動脈弓(だいどうみゃくきゅう)から分岐した動脈が、中部は胸部大動脈から分岐する動脈が分布しています。

・食道下部と胃、十二指腸に分布する動脈は、腹腔大動脈から分岐した動脈です。

・小腸の大部分と大腸の前半部(横行結腸まで)は上腸管膜動脈が、大腸後半部には下腸管膜動脈が分布しています。

 補)消化管で吸収された栄養素は、主に、上腸管膜静脈から門脈により肝臓に運ばれますが、脂質の多くはリンパ管から胸管、鎖骨下静脈を経て全身の臓器へと運ばれていきます。

(13)消化管の神経支配

・食欲中枢は視床下部にあり、それには満腹中枢と摂食中枢があり、食行動はその両者の連動によっておこります。

・咀嚼と嚥下には三叉神経、顔面神経、舌咽神経(ぜついんしんけい)、迷走神経、舌下神経など脳幹部から出る複数の脳神経、および大脳や小脳が関与しています。

・食道以下の消化管の機能は、自律神経系の交感神経と副交感神経に支配されていますが、その自律神経系の中枢は視床下部にあります。

・交感神経は消化管の腺の分泌と平滑筋の収縮を抑制し、副交感神経は逆に促進します。


人体の構造と機能 第27回(消化器系の構造と機能) [人体の構造と機能]

B)便の成分

・便の成分の70~80%は水分で、固形成分としては、細菌、無機物、脂肪、線維が含まれています。便の色が黄褐色なのは、胆汁色素が含まれているためです。

・便の臭いは、腸内のバクテリアの発酵およびスカトール、インドール、硫化水素によるものです。

[設問] 便の匂いの原因となるものを二つ選べ。

イ 胆汁色素    ロ スカトール    ハ インドール    ニ 無機物    ホ コレステロール

                                    正解 (

C)排便反射

・飲食によって胃に食物が入ると、反射的に大腸全体が蠕動運動をおこして、下行結腸からS字結腸にある便はは直腸に押し込まれます。

・直腸内圧が30~40mmHg以上になると、直腸壁が伸ばされ、骨盤神経を通して脊髄や延髄の排便中枢へ信号が送られ、直腸の蠕動運動が亢進して便胃がおきるようになっています。

・便意を感じた時、外肛門括約筋を意識的に(随意的に)ゆるめると、排便がおこります。内肛門括約筋は、便が到達すると無意識に(不随意に)ゆるみます。

・排便の際には、横隔膜や内・外腹斜筋などの収縮によって腹圧がかかって、排便は促進されます。

・排便は、食後24~72時間でおこることになります。

(10)肛門

《構造》

・外肛門括約筋、内肛門括約筋、肛門挙筋で囲まれた肛門管を形成しています。

・肛門と直腸の境目は、歯状線といい皮膚と粘膜の境目になります。肛門管は歯状線のやや上までを含みます。

肛門.png

《機能》

・便が肛門部に到達すると内肛門括約筋が不随意にゆるみ、便意を感じた時に意識的に外肛門括約筋をゆるめることで排便がおきます。


人体の構造と機能 第26回(消化器系の構造と機能) [人体の構造と機能]

(8)胆道(たんどう)

《構造》

・胆道は肝臓から出る肝管(かんかん)、それと合流する胆嚢管(たんのうかん)、合流後の総胆管と胆嚢からなり、総胆管は膵臓から出る膵管と合流して十二指腸へとつながっています。

・胆嚢は、肝臓の下面にあって、長さが6~12cm、幅が4~6cmの西洋梨様の形をした袋で、40~70mlの胆汁を入れることができます。

《機能と生理》

・胆道は肝臓から排出される胆汁が十二指腸へ流れる流路となっています。

・胆嚢は、胆汁濃縮能(4~10倍と言われています)を持ち、粘液を添加して、胆嚢管から総胆管を経て、十二指腸に胆汁を排泄する機能を持っています。

(9)大腸

《構造》

・大腸の長さは、1.5~1.8mで、盲腸、上行結腸、横行結腸(おうこうけっちょう)、下行結腸、S字結腸、直腸に区別されます。

大腸.png

《機能と生理》

A)大腸の役割

・大腸は消化・吸収されてきた残りの食物の通路としての役割のほか、水と電解質の吸収、消化されない食物を便として貯留させ、排泄へ向かわせる役目を担っています。

・大腸には、1日あたり消化液を含め1~2L入りますが、実際に便として排泄される量は1日あたり100~250mlとなります。

・大腸には絨毛はなくて、消化酵素も分泌しません。大腸の粘液はpH8のアルカリ性で、粘膜の保護と潤滑剤としての役目を果たし、便の移送を助けています。

 補)消化酵素を分泌するのは胃粘膜、膵臓、小腸粘膜ということです。

[設問] 大腸についての説明で正しいものを一つ選べ。

イ 大腸にも、絨毛はみられる。

ロ 消化酵素も分泌される。

ハ 大腸の粘液はpH8のアルカリ性で、粘膜の保護と潤滑剤としての役目を果たしている。

ニ 大腸には消化液も含めると1日に約10Lほど入るが、実際に便として排泄されるのは100~250mlである。

                                                  正解 (