人体の構造と機能 第48回(血液・造血器の構造と機能) [人体の構造と機能]
3)血液型
(1)ヒトの血液型
・ヒトの血液型にはABO式とRh式があります。
(2)ABO式血液型
・ABO式は、赤血球表面の15種のアミノ酸からなるA抗原またはB抗原の存在の仕方によって血液型を分けるものです。A抗原だけの場合がA型、B抗原だけの場合がB型、AとB抗原の両者があるとAB型、どちらもないとO型となります。
・A抗原、B抗原に対しては、自然抗体が産生され、A型の人は抗B抗体、B型の人は抗A抗体、O型は抗A抗体と抗B抗体を持っています。そして、AB型の人にはどちらの抗体もないことになります。
(3)Rh式血液型
・Rh式では、多くの人はRh+でRh抗原を持っています。日本人ではRh+が99%、Rh-が1%と言われています。白人では15%がRh-と言われます。
・ヒトではRhに対する自然抗体はありません。Rh-の人にRh+の血液を輸血すると抗体ができるのです。
[設問] Rh式血液型のRh‐は、日本人での頻度は次のうちどれか?
イ 1% ロ 3% ハ 5% ニ 15%
正解 (イ)
人体の構造と機能 第47回(血液・造血器の構造と機能) [人体の構造と機能]
(4)血漿
《成分》
A)血漿蛋白
・蛋白は、血漿の6~8%(6~8g/dL)を占め、主成分はアルブミン、グロブリン、フィブリノーゲンです。
・アルブミンは血漿の約4%(4~5g/dL)、グロブリンは約2.7%を占めています。
・グロブリンにはα-1グロブリン、α-2グロブリン、β-グロブリン、γ-グロブリンがあります。
・フィブリノーゲンは血漿の約0.3%を占めています。
[設問] 血漿タンパク中、最も多いものは何か?
イ アルブミン ロ α-1グロブリン ハ α-2グロブリン ニ β-グロブリン ホ γ-グロブリン
正解 (イ)
B)電解質
・電解質としては、Na+、Cl-、K+、Ca2+、Mg+、HCO3-、HPO42-などがあり、非電解質成分として、グルコース(ブドウ糖)、脂質、ビリルビン、尿素窒素、尿酸、クレアチニン、アンモニアなどが含まれています。
《機能と生理》
・アルブミンは肝臓で合成され、膠質浸透圧(こうしつしんとうあつ)を維持し、蛋白質の補給源ともなり、また脂肪酸・ステロイド・胆汁色素と結合して、これらを運搬する働きも行っています。
・グロブリンはBリンパ球から分化する形質細胞でつくられ、免疫グロブリンとして抗原に対する抗体として働いています。
人体の構造と機能 第46回(血液・造血器の構造と機能) [人体の構造と機能]
(3)血小板
《構造》
A)血小板の形と数
・直径2~4μmの円盤形をしています。
・数は、20万~50万個/mm3あります。
B)血小板の微小構造
・血小板の表面は、糖蛋白で覆われています。
・血小板には核はありませんが、微小管によって形が保たれ、ミトコンドリアやグリコーゲン顆粒などがあります。
・血小板には濃染顆粒があり、アデノシン2リン酸(ADP)、ATP、セロトニン、カルシウムイオンが含まれています。
・血小板には、α顆粒があり、フィブリノーゲン、フォンウイルブランド因子(vWF)、凝固V因子、血小板第4因子、血小板由来成長因子、フィブロネクチン、α1アンチトリプシン、βトロンボグロブリン、p‐セクレチン、トロンボスポンジンなどを含んでいます。
《機能と生理》
A)血小板の役割
・血小板は、潜在的に粘着能と凝集能を持ち、止血機構に関わっています。
B)血小板と止血
・血小板は、出血した時、刺激因子によって活性化されると金平糖(こんぺいとう)のような形になり、細胞膜上に細胞接着因子が発現します。これによって、血小板は血管内皮細胞に接着・凝集し、傷口を塞ぎ、1次止血栓(血小板血栓)を形成します。このあと、各種凝固因子が出てきて、血液中のフィブリンが凝固して2次止血栓(フィブリン血栓)がつくられて止血は完了します。
[設問] 血小板について正しいものを一つ選べ。
イ 血小板の形は、元々、金平糖状である。
ロ 血小板の表面は糖脂質で覆われている。
ハ 血小板には核、ミトコンドリア、グリコーゲン顆粒などがある。
ニ 血小板は、潜在的に凝集能と粘着能を持ち、止血機構に関わっている。
正解 (ニ)