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人体の構造と機能 第51回(血液・造血器の構造と機能) [人体の構造と機能]

(2)特異的機構(獲得免疫系)

A)即時対応型の免疫防御機構

・特定の病原体に対する抗体を産生し、一度出会った病原体の記憶を刻む細胞(メモリーT細胞、メモリーB細胞)を産生し、次の感染に対して防護を行うもので、準備を整えた即時に対応できる免疫防御機構です。リンパ球が主役となります。

B)リンパ球の種類

・リンパ球には、NK細胞、T細胞(胸線由来リンパ球)、B細胞があります。

C)T細胞とB細胞

・骨髄で出来たリンパ球系幹細胞が出生前後に胸腺で前処理されたものは、T細胞となり、脾臓などで前処理されたものは、B細胞となり、それぞれリンパ節に定着します。胸腺、リンパ節や脾臓ではさらにリンパ球の増殖・産生が行われます。

・T細胞が主体となって行う細胞性免疫と、Bリンパ球が中心となる液性免疫があります。

D)細胞性免疫

・細胞性免疫の主役はT細胞です。

・T細胞には、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、細胞障害性T細胞(キラーT細胞)、メモリーT細胞があります。

・細胞性免疫の前段には、マクロファージ、樹状細胞などの抗原提示細胞の活動があります。どんな活動かと言うと……抗原提示細胞は、病原菌を貪食すると……細胞表面に病原菌の細胞抗原を提示してT細胞に病原菌が侵入したことを知らせます。つまり、合図を送るのですね!

・ヘルパーT細胞というのは、抗原提示細胞と結合して、リンホカインを放出し、細胞障害性T細胞の細胞分裂を促進します。(リンホカインは、好中球の遊走性も高め、マクロファージの食作用を増強し、また、B細胞の細胞分裂促進による液性免疫促進作用も持っています)

・細胞障害性T細胞は、ナイーブ細胞障害性T細胞から活性化されたエフェクターT細胞になることによって細胞障害性を発揮します。そして、癌細胞やウイルス感染細胞などを攻撃して、死滅させるのです。

細胞性免疫.png

・一部の細胞障害性T細胞は、メモリーT細胞として残存し、一度感染した病原体を長期にわたって記憶し、再度の感染時に直ちに反応し、病原体を攻撃して排除します。

・サプレッサーT細胞は、ヘルパーT細胞の働きを抑制する機能を持ち、免疫系の過剰反応を抑えます。

[設問] 免疫系の過剰反応を抑える役目を担うのはどれか? 一つ選べ。

イ ヘルパーT細胞    ロ メモリーT細胞    ハ サプレッサーT細胞    ニ 樹状細胞

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人体の構造と機能 第50回(血液・造血器の構造と機能) [人体の構造と機能]

5)生体防御機構

(1)非特異的機構(自然免役系)

A)常時待機型の免疫機構

・特定の抗原を認識して働く免疫系ではなく、常時待機している免疫機構です。

B)関与する細胞

・白血球中の好中球、好酸球、単球およびマクロファージ、リンパ球の中のNK細胞が関わっています。

C)貪食細胞

・好中球、マクロファージなどの食細胞とNK細胞は、病原菌を貪食します。この中で、貪食能はマクロファージが最も強力で、好中球は貪食後には死滅して膿となります。好酸球も弱い貪食能を持っていますが、寄生虫に対してケミカルメディエータを放出して攻撃する作用の方が強いようです。好塩基球は、組織に入ると肥満細胞として働き、他の細胞が活動しやすい環境をつくります。

D)NK細胞

・NK細胞は、大型のリンパ球で、免疫系が反応する以前に補体と協力して、ウイルスや癌細胞を破壊します。

E)マクロファージ

・マクロファージは、インターロイキン‐1などのサイトカインを産生し、これがリンパ球活性化因子となって、リンパ球の細胞分裂を増強することになります。

・マクロファージは、補体も産生し、活性化した補体は細菌の膜を破壊し、死滅させます。

 補)補体は肝細胞でも産生されています。

[設問] 貪食能が最大のものを選べ。

イ 好中球   ロ マクロファージ   ハ 好酸球   ニ NK細胞

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人体の構造と機能 第49回(血液・造血器の構造と機能) [人体の構造と機能]

4)凝固と線溶

(1)血液には凝固系と線溶系という相反する働きをする2つの系があります。血管が損傷して出血が起きた時は、凝固系が働いて止血が起こり、血栓が発生した時には線溶系が働いて血栓を溶かして梗塞を防ぐ……といった具合にうまくバランスをとっているのです。

凝固線溶.png

(2)主な凝固系の因子: 第I因子(フィブリノーゲン)、第II因子(プロトロンビン)、第III因子(トロンボプラスチン)、第IV因子(Ca+)、第V因子(プロアクセリン)、第X因子(スチュアート因子)、第XI因子(血漿トロンボプラスチン前駆物質)、第XII因子(ハーゲマン因子)、第XIII因子(フィブリン安定化因子) などがあります。

(3)主な線溶系の因子:プラスミン、プラスミノーゲン、プラスミノーゲンアクチベータ、アンチトロンビンIII などがあります。

[設問] 線溶系の因子を一つ選べ。

イ フィブリノーゲン   ロ プロトロンビン   ハ プラスミン   ニ トロンボプラスチン  ホ プロアクセリン

                                              正解 (


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