疾病の成り立ちと回復の促進 第10回(病態のいろいろ) [疾病の成り立ちと回復の促進]
(3)代謝障害
A)概念
・ 必要な物質を外から取り入れ、体内で不必要になったものを排泄することにより生命活動は行われています。 この営みの中にはたくさんの代謝系が存在し機能しています。 この代謝の過程に支障が生じると、それに応じた疾病がおこってくるのです。
B)糖代謝の障害
a)糖尿病
・ 膵臓のランゲルハンス島のB細胞から分泌され血糖を下げる作用を持つインスリンの作用不全が耐糖能異常、糖尿病を引き起こします。
b)糖原病
・ グリコーゲンの分解酵素が先天的に欠損してグリコーゲンが肝臓、筋肉、腎臓、心臓などに異常に蓄積する疾患群。 代表的なものとして、フォン・ギールケ病とポンペ病があります。
c)ガラクトース血症
・ ガラクトースをグルコースへ変換する酵素の欠損によっておこるものです。
C)蛋白質代謝障害
a)低蛋白血症
・ 血清蛋白、とくにアルブミンが減少する疾患。 遺伝性のものもありますが、多くは、後天的に飢餓、消耗性疾患、ネフローゼなどでおこるものです。
b)アミロイドーシス
・ アミロイド蛋白が全身または局所にちくせきする疾患。
c)尿毒症
・ 慢性的な腎不全により蛋白質の最終代謝産物である尿素やクレアチニンなどの排泄が障害され、これら窒素化合物が血中に蓄積して中毒症状をおこします。
d)高アンモニア血症
・ 蛋白質の異化に伴い生じたアンモニアは肝臓で尿素に代謝され排泄されています。 肝機能不全になるとこの代謝ができず、高アンモニア血症を生じることになります。
e)アミノ酸代謝障害
・ 多くは常染色体劣性遺伝をとる先天性代謝障害でおこります。(代表例がフェニルケトン尿症)
[設問] 糖原病で蓄積するものはどれか? 一つ選べ。
イ グルコース ロ デンプン ハ ガラクトース ニ グリコーゲン
正解 (ニ)
[設問] 低蛋白血症で特に減少の目立つものはどれか? 一つ選べ。
イ アルブミン ロ γグロブリン ハ フィブリノゲン ニ アミロイド蛋白
正解 (イ)
[設問] 尿毒症で中毒症状の原因となるものはどれか? 一つ選べ。
イ アンモニア ロ アミノ酸 ハ 窒素酸化物 ニ 二酸化炭素
正解 (ハ)
[設問] 高アンモニア血症を起こす病態は次のどれか? 一つ選べ。
イ 心不全
ロ 腎不全
ハ 肝機能不全
ニ 呼吸不全 正解 (ハ)
疾病の成り立ちと回復の促進 第9回(病態のいろいろ) [疾病の成り立ちと回復の促進]
D)細胞死
a)アポトーシスとネクローシス
・ 細胞の死には、思いがけず細胞傷害を受けたことにより細胞が死ぬ、ネクローシスと、不必要となった細胞を除去するために遺伝子でプログラム化された細胞死、アポトーシスがあります。
b)壊疽
・ 広範囲に壊死をおこした組織が二次的な変化を受けると壊疽(えそ)と呼ばれる状態になります。
・ 急速に乾燥しミイラ化した場合、乾性壊疽(かんせいえそ)と呼ばれます。
・ 腐敗菌が感染すると悪臭を放ち、湿性壊疽(しつせいえそ)と呼ばれます。
・ ガス産生嫌気性菌に感染するとガス壊疽となります。
E)老化と死
a)細胞の老化
・ 細胞の分裂回数は有限であり、動物種によって異なる。 ヒトでは約50~70回といわれ、染色体の末端にあるテロメアは細胞分裂の回数券といわれ、分裂を経たものでは短くなります。 細胞分裂が停止した細胞では、徐々に老化が始まり、異常ミトコンドリアが増加しATP産生の低下やフリーラジカルの産生が高まり、細胞傷害が進みます。 老化した細胞では細胞内に変性物質の沈着がみられ、機能障害がおこっています。
b)個体の老化
・ 細胞の集合体である個体にも老化があり、老人の細胞ではテロメアが短くなっています。 細胞の機能低下があれば器官の機能低下もおこり、さらには個体が老化していきます。
・ 老化した個体では、全身の水分含有量や蛋白の減少と脂質の増加がみられます。
[設問] 下記の文で正しいものを一つ選べ。
イ アポトーシスとは、遺伝子でプログラム化された細胞死のことである。
ロ ネクローシスとは、不必要となった細胞を除去するためにおこる。
ハ アポトーシスとは、思いがけず細胞傷害を受けたことによっておこる。
ニ ネクローシスとは、遺伝子でプログラム化された細胞死のことである。
正解 (イ)
[設問] ミイラは何という壊疽か?
イ ガス壊疽
ロ 乾性壊疽
ハ 湿性壊疽
ニ 単純壊疽 正解 (ロ)
[設問] 下記の説明文で正しいものをニつ選べ。
イ 細胞分裂の回数は有限であり、どの動物種でも同じである。
ロ 細胞分裂の回数券と言われるのは、染色体のテロメアと呼ばれるものである。
ハ テロメアの長さは、分裂を経ても変わらない。
ニ ヒトの細胞の分裂回数は30回くらいと言われる。
ホ 老人の細胞ではテロメアは短くなっている。 正解 (ロ、ホ)
疾病の成り立ちと回復の促進 第8回(病態のいろいろ) [疾病の成り立ちと回復の促進]
C)変性
a)変性とは?
・ 組織、細胞の傷害機転により出現した機能障害によって組織、細胞内に正常ではみられない物質が沈着したり、正常でもみられるが量が過剰に沈着することがありますが、これを変性と呼びます。
b)細胞の変性
ア)混濁腫脹: 細胞の腫脹して、細胞質内が白く混濁してみえることがあります。 これは酸素欠乏により多数のミトコンドリアが膨化したためにみられるもので、ヒ素中毒や熱性伝染病、慢性の貧血などの際にみられるものです。
イ)空胞変性: 細胞内のミトコンドリアや小胞体が膨化し空胞化しておこるもので、中毒、感染症でみられます。
ウ)脂肪変性: 細胞の脂質の酸化障害により大小の脂肪滴が細胞質内に多数出現した状態で、肝、腎、心筋などの実質臓器でみられ、慢性貧血、うっ血、中毒などでおこるものです。
エ)粘液変性: 腺上皮細胞でみられる所見で、粘液の細胞内での貯留が高度となっておこるものです。
オ)硝子滴変性: 細胞質内に硝子様小顆粒(しょうしようしょうかりゅう)が細胞質内に充満してみられるもので、硝子様小顆粒は細胞質内に蛋白が過剰に再吸収されたものです。 糸球体腎炎やネフローゼで腎臓の近位尿細管上皮にみられます。
カ)グリコーゲン変性: 肝臓や横紋筋のようなグリコーゲンを含む臓器の細胞で、グリコーゲンを分解する酵素に異常を生じたときにグリコーゲンが沈着しておこるものです。
c)細胞間質の変性
ア)硝子変性: 硝子質(しょうししつ)と呼ばれる物質が結合組織や血管壁に沈着、蓄積しておこります。 これは、動脈硬化のおこっている血管壁などにみられます。
イ) フィブリノイド変性: フィビリンを含んだ血漿成分が血管壁などに沈着したもので、膠原病などでみられます。
ウ)アミロイド変性: 硝子質に似たアミロイドと呼ばれる糖蛋白が組織間隙や血管周囲に異常沈着するものです。
エ)結合識性粘液変性: 結合組織に粘液の貯留をきたすもので、間質組織由来の腫瘍である線維腫、粘液腫、脂肪肉腫などでおこりやすいといわれます。
[設問] 印環(いんかん)細胞がみられるのはどの変性か。
イ 空胞変性 ロ 脂肪変性 ハ 粘液変性 ニ グリコーゲン変性
正解 (ハ)
疾病の成りたちと回復の促進 第7回(病態のいろいろ) [疾病の成り立ちと回復の促進]
(2)細胞・組織の傷害
A)細胞傷害の機序
a)不可逆的細胞傷害と可逆的細胞傷害
・ 細胞は種々の因子によって影響を受け、適応しようとするが、ある限界を超えると傷害を受けることになります。 傷害にも修復され元に戻りうる可逆的(かぎゃくてき)細胞傷害と、元にもどらず細胞死に至る不可逆的(ふかぎゃくてき)細胞傷害があるのです。 可逆的から不可逆的細胞傷害へ移る境目を不帰(ふき)点といい、不帰点は細胞の種類や生理状態によって変わりうるものです。
b)代表的な細胞傷害因子
・ 活性酸素・フリーラジカル: 細胞傷害機構中、最重要因子といわれます。 正常分子を変化させ、蛋白質や核酸を変性・切断し、さらに細胞膜のリン脂質にラジカルを発生させ細胞膜を破壊し細胞の不可逆的傷害をおこします。
B)萎縮
a)萎縮とは?
・ いったん正常に発達した臓器、組織の容積が障害のため縮小することをいいます。
b)全身性の萎縮
・ 加齢や飢餓、消耗性疾患で全身の臓器や組織に萎縮をみることをいいます。
・ 全身性の萎縮の場合、特に脂肪組織、骨格筋、肝臓に萎縮は目立ってみられます。
c)局所性の萎縮
ア)圧迫萎縮: 長期間の圧迫が加わった組織におこるものをいいます。
イ)無為(むい)萎縮: 廃用性萎縮ともいい、長期間使わなかったことによりおこる萎縮のことです。 四肢の骨格筋におこりやすい萎縮です。
ウ)神経原性萎縮: 運動神経の障害により、その支配する骨格筋におこる萎縮のことです。
エ)内分泌性萎縮: ホルモンにより支配されている器官で、ホルモンの低下により刺激が減退しておこる萎縮のことです。
[設問] 細胞傷害における不帰点について正しいものを一つ選べ。
イ 可逆的な細胞傷害の始まりをいう。
ロ 可逆的な細胞傷害の半ばあたりのことをいう。
ハ 可逆的な細胞傷害と不可逆的細胞傷害の境目をいう。
ニ 不可逆的な細胞傷害がある程度進んだ状態をいう。 正解 (ハ)
[設問] 細胞傷害の最重要因子とされるものは次のどれか?
イ 酸素 ロ 二酸化炭素 ハ フリーラジカル ニ 一酸化炭素
正解 (ハ)
[設問] ギプス固定によっておこる局所の筋肉の萎縮はどれか?
イ 圧迫萎縮
ロ 無為萎縮(廃用性萎縮)
ハ 神経原性萎縮
ニ 内分泌性萎縮 正解 (ロ)
疾病の成り立ちと回復の促進 第6回(病態のいろいろ) [疾病の成り立ちと回復の促進]
イ)多因子遺伝病(複数の病原遺伝子と環境因子が発現に関与)
・ 多因子遺伝病では、大きな効果を及ぼす病原遺伝子(1~数個)があり、他の複数の遺伝子や環境因子がさらに効果を加えることによっておこります。
例)糖尿病、高血圧症、悪性腫瘍 など
ウ)トリプレットリピート病
・ DNA上には正常でも3個の塩基からなる3塩基配列が繰り返す部位があるが、その繰り返しが異常に多く長くなったために発症する遺伝病が近年多数見つかってきました。
・ 最も多い3塩基配列の異常延長はCAGの異常延長です(下図)。
例)ハンチントン病、マチャド・ジョセフ病など
D)奇形
a) 奇形とは?
・ 奇形とは胎生期の変化で、出生時の傷害によるものや出生後障害は含みません。 つまり、母親のお腹の中でおこる臓器、器官の形態異常のことです。
b)奇形の種類
・ 重複奇形と単体奇形(外表奇形と内臓奇形)、単独奇形と合併奇形
c)重複奇形
ア) 非対称性分離重複体
・ 1児が正常で他児に著しい発育障害をきたすもの
イ) 結合体
・ 身体の一部で結合したままのもの(頭蓋結合体、胸部結合体など)
d)単体奇形
ア)全身性の奇形
・ 内臓逆位症(ぎゃくいしょう): 内臓が左右逆の位置にあるもの
ウ) 顔面の奇形
・ 口蓋裂(こうがいれつ)、口唇裂(こうしんれつ)など
エ) 頭部の奇形
・ 無脳症など
オ) 頸部の奇形
・ 甲状舌管(こうじょうぜっかん)の遺残など
カ) 体幹の外表または内臓奇形
・ 横隔膜ヘルニア、二分脊椎(にぶんせきつい)、食道気管支瘻、鎖肛(さこう)、馬蹄腎(ばていじん)、重複子宮など
キ) 四肢の奇形
・ 多指(たし)(趾)症、合指(ごうし)(趾)症、内反足(ないはんそく)など
e)奇形の発生要因
ア)概略: 1個の病原遺伝子によるもの、染色体異常によるもの、多因子(遺伝的因子+環境因子)によるもの、環境因子によるものなどいろいろです。
イ)両親の年齢との関係: 母親の年齢が高いほどやや発生頻度が高まる。父親の年齢の影響は少ないといわれます。
ウ)性差: 臓器毎では性差は若干みられますが、全体では性差はありません。
エ)環境因子
・ 生物学的因子: 風疹(ふうしん)ウイルス→白内障、心奇形、内耳性聾(ろう);サイトメガロウイルス、トキソプラスマ
・ 物理的因子: 放射線、酸素欠乏、羊水過多や羊膜癒着、胎児の異常体位 など
・ 化学的因子: サリドマイド、有機水銀(胎児性水俣病)、アルコール、抗けいれん薬、ホルモン異常など
オ)催奇形要因に対する感受性の高い時期
・ 受精より第2週末までの胚子(はいし)発生期では障害があると胚子の多くは死滅します。
・ 受精後第3~10週末を胎芽期(たいがき)といい、器官形成期にあたるため、大多数の奇形はこの時期の障害によることが多いといわれています。
・ 受精後第3~12週を奇形発生の臨界期(りんかいき)と呼びます。
・ 受精後第11週~出産までを胎児期といい、頻度は少ないが環境因子の影響を受けるといわれています。
[設問] トリプレットリピート病であるものを選べ。
イ デュシャンヌ型筋ジストロフィー
ロ 血友病
ハ ハンチントン病
ニ エナメル質形成不全症 正解 (ハ)
[設問] 次の説明文で正しいものを一つ選べ。
イ 奇形とは胎生期と出生時の傷害によるものを含めていう。
ロ 胸部結合体は奇形の種類では、単体奇形に含まれる。
ハ 内臓逆位症は単体奇形である。
ニ 奇形の発生要因では、父親の年齢が高いほど発生頻度が高まり、母親の年齢の影響は少ない。
正解 (ハ)
[設問] 奇形発生の臨界期といわれるのは次のどれか?
イ 受精から第2週末まで
ロ 受精後第3~10週
ハ 受精後第3~12週
ニ 受精後第12~20週 正解 (ハ)
疾病の成り立ちと回復の促進 第5回(病態のいろいろ) [疾病の成り立ちと回復の促進]
b)遺伝子異常による遺伝病
ア)単一遺伝病(1個の病原遺伝子でおこる疾患)
・ 常染色体優性遺伝をとるもの: 片親のみに病原遺伝子がある場合、子供の50%に発現することになります。 男女差はありません。
例)家族性大腸ポリポーシス、マルファン症候群など
・ 常染色体劣性遺伝をとるもの: 近親婚により発現することが多く、男女差はありません。 先天性代謝異常の多くがこれにあたります。
・ X連鎖優性遺伝をとるもの: 父が病原遺伝子を持っていると娘には必ず伝わりますが、息子には伝わりません。 母が病原遺伝子を持っていると息子と娘が1:1の割合で伝わる。
例)エナメル質形成不全症、家族性低リン血症性くる病など
・ X連鎖劣性遺伝をとるもの: 伴性劣性遺伝とも呼ばれるものです。
例)デュシャンヌ型筋ジストロフィー、血友病など
[設問] 片親のみに病原遺伝子があり、子供に50%の割合で発現するものはどれか。
イ 常染色体優性遺伝
ロ 常染色体劣性遺伝
ハ X連鎖優性遺伝
ニ X連鎖劣性遺伝 正解 (イ)
疾病の成り立ちと回復の促進 第4回(病態のいろいろ) [疾病の成り立ちと回復の促進]
3)疾病の病態のいろいろ
(1)先天性疾患と遺伝病
A)先天性疾患と遺伝病の関係
・先天性疾患には、外因による胎生期障害と、代々受け継がれてきた病原遺伝子による遺伝病があります。
B)遺伝子病と遺伝病
・遺伝子は環境の影響によって生後にも突然変異がおこることがあります。このような後天的な変異を含めた遺伝子の異常が引き起こす疾患を遺伝子病と呼びます。
・遺伝病とは、代々受け継がれてきた病因遺伝子の伝達によっておこる疾患のことです。つまり、遺伝病は遺伝子病の中に含まれることになります。
C)遺伝病のいろいろ
a)染色体異常による遺伝病
・染色体の構成: ヒト体細胞の染色体は46個で、そのうち常染色体が44個(22対)、性染色体が2個あります。 性染色体は男性ではXY、女性ではXXとなっています。 常染色体が対になっているのは両親から受け継いでいるからで、お互いそれぞれの相同染色体(そうどうせんしょくたい)といいます。 ヒト生殖細胞の染色体は、減数分裂によって卵子から常染色体22+Xの1種類だけになりますが、精子では常染色体22+Xと22+Yの2種類になります。
・染色体の基本構造: 染色体の中央部にはくびれがあり、その部分をセントロメアといい、それをはさんで短い方をp腕(短腕)、長い方をq腕(長腕)と呼びます。 p腕とq腕の端っこにはテロメアと呼ばれる構造があります。
・染色体異常のいろいろ: 数の異常としては、正常では2個の相同染色体が1個(モノソミー)や3個(トリソミー)になっているものがあります。 構造の異常としては、染色体の一部が欠けたり(欠失)、染色体の1部が切れて他の染色体に接合したり(転座)、染色体の1部が他の染色体のどこかに挿入されて二重になったりしたもの(重複)があります。
・常染色体異常による疾患: 正常では2個ある第21染色体が3個になったダウン症候群(21トリソミー症候群)などがあります。
・性染色体異常による疾患: ターナー症候群、クラインフェルター症候群(47+XXYなど)などがあります。
[設問] 次の説明文で正しいものを一つ選べ。
イ 遺伝子病には、代々受け継がれてきた病因遺伝子によるものと、突然変異による遺伝子の異常で起きるものがある。
ロ 遺伝病とは、突然変異による遺伝子の異常で起こるものをいう。
ハ ヒトの体細胞の染色体は44個ある。
ニ 染色体の中央部のくびれをテロメアという。
正解 (イ)
[設問] 正常では2個ある第21染色体が3個になって起る病気はどれか?
イ ターナー症候群
ロ クラインフェルター症候群
ハ ダウン症候群
ニ 代謝症候群 正解 (ハ)
疾病の成り立ちと回復の促進 第24回(修復と再生)へ ⇒ http://shiratorik-kango.blog.so-net.ne.jp/2013-04-20-1
疾病の成り立ちと回復の促進 第3回(内因と外因:内因) [疾病の成り立ちと回復の促進]
(2)内因
A)遺伝子異常(直接因子)
・先祖から代々異常遺伝子を受け継いでいる場合と、突然変異によって初めて異常遺伝子が発現する場合の2種類があります。
・病原性を持つ異常遺伝子、つまり病原遺伝子が、世代を越えて伝わる疾患を遺伝性疾患といいます。
・遺伝性疾患は、生下時から症状を示すとは限らず、生まれた時は症状がなく、ある年齢から発症するものも数多くみられます。
B)免疫防御系の異常
・免疫機構の強弱: 免疫は生体の持つ最も能動的な防御機構ですが、個人差があって、同じ病原体でも感染してすぐに治る人もいれば、重症になる人もいます。
・免疫過剰: アレルギーとして現れます(過ぎたるは及ばざるがごとし……ということです)
・免疫機構の変調: 自分の身体の成分なのに、免疫系が抗原と認識してしまい、免疫反応をおこして疾病を引き起こすことがあります。いわゆる自己免疫疾患のことです。
C)加齢など(誘因)
・加齢により、生体膜やその構成成分に劣化がおこり、外因の影響を受けやすくなります。つまり、疾病発症の準備状態ができるということです。
・加齢により、さまざまな外因によって遺伝子が傷つき変異がおきます。癌関連遺伝子の変異によって癌の発生をきたすこともあります。
[設問] 下記の文で、正しいものを一つ選べ。
イ 遺伝子異常とは、代々異常な遺伝子を受け継いでいる場合だけをいう。
ロ 遺伝性疾患であれば、すべて生下時より症状を呈する。
ハ 免疫系が、自分の身体の成分を抗原と認識して起きるのが自己免疫性疾患である。
ニ 遺伝子は外因によって傷つくことはない。
正解 (ハ)
疾病の成り立ちと回復の促進 第4回(病態のいろいろ) ⇒ http://shiratorik-kango.blog.so-net.ne.jp/2013-04-06-1
疾病の成り立ちと回復の促進 第2回(内因と外因:外因) [疾病の成り立ちと回復の促進]
2)疾病を引き起こす内因と外因
(1)外因
A)化学的因子
・腐食毒(ふしょくどく)(酸、アルカリ): 接触した箇所の組織を破壊します。
・有毒ガス: 有毒な気体、微細な液体あるいは微粉末の個体で、接触した皮膚、吸入した器官の粘膜の障害と全身性の障害をおこします。喫煙も生活習慣の中で吸い込む毒ガスの一つといえます。
・金属性毒物(ヒ素、鉛、水銀など): これによる疾病として、有機水銀による水俣病、カドミウムによるイタイイタイ病などがあります。
・有機化合物(有機溶剤など): 揮発性のもので、主に肺から侵入しますが、皮膚から入るものもあります。
・医薬品: キノホルムによるスモン、サリドマイドの催奇形性、抗生物質の副作用と薬剤耐性菌感染症などがあります。
B)物理的因子
・機械的エネルギー: 外力(殴打、刃物、銃弾、交通事故などによる)によって加わるエネルギーによって身体に損傷を起こします。
・気圧の変化: 急激におこると、肺出血、臓器破裂、海中での急浮上による潜函病(せんかんびょう)、高山病などdがあります。
・音波: 聴覚器官に障害を起こします(騒音性難聴)。
・温度: 火傷、熱傷、熱中症、凍傷
・電気、光線
・放射線
C)栄養不全と栄養過多
・水、塩類、酸素、ビタミン、蛋白質、糖類、脂肪などの栄養素の過不足によっておきます。
・最近では、栄養過多による生活習慣病(代謝症候群などの疾患概念ができています)がおこり、問題となっています。
D)生物学的因子
・細菌、スピロヘータ、リケッチャ、ウイルス、原虫、寄生虫などがあります。
・最近では、HIV(human immunodeficiency virus)によるエイズ(後天性免疫不全症候群、acquired immunodeficiency syndrome, AIDS)や新種のコロナウイルスによる重症急性呼吸器症候群(SARS, severe acute respiratory syndrome)、鳥インフルエンザAH5N1ウイルスなどの新しいウイルス疾患が現われています。肝炎ウイルスもかってのA型、B型以外にC型を始め、数種の新たなウイルスが発見されています。
・最近の細菌感染症では、病原大腸菌O-157、耐性ブドウ球菌などが新しい問題となっています。
・新しい伝染性疾病として、牛海綿状脳症(うしかいめんじょうのうしょう)(BSE)などのプリオン病が問題となり、原因となる異常プリオンが話題となっています。
E)社会的因子
・現代社会における対人関係などにおけるストレスが疾病の原因となっています。
[設問] 疾病の外因の中で、物理的因子はどれか? 一つ選べ。
イ 有毒ガス ロ 放射線 ハ 金属性毒物 ニ プリオン
正解 (ロ)
[設問] 外因とそれによる疾病の組み合わせで正しいものを一つ選べ。
イ キノホルム --- 奇形
ロ サリドマイド --- スモン
ハ 有機水銀 --- 水俣病
ニ カドミウム --- 肺癌 正解 (ハ)
[設問] 新型のコロナウイルスによる重症ウイルス性肺炎はどれか?
イ SARS
ロ AIDS
ハ 鳥インフルエンザ
ニ BSE 正解 (イ)
疾病の成り立ちと回復の促進 第3回(内因と外因:内因)へ ⇒ http://shiratorik-kango.blog.so-net.ne.jp/2013-04-06
疾病の成り立ちと回復の促進 第1回(疾病とは) [疾病の成り立ちと回復の促進]
1.疾病の成り立ち
1)疾病とは?